「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

2005年6月 定例会の報告
東京ディズニーリゾート バリアフリーの歩み

講師:野口 浩一 氏
株式会社オリエンタルランド    
運営本部 運営統括部 チーフリーディングスタッフ
日時:2005年6月10日
講師略歴
1982年7月現在の株式会社オリエンタルランド入社され、83年4月のグランドオープンに向け、主にアトラクション担当者としてプロジェクト作業を推進される。
1983年4月東京ディズニーランド グランドオープンにあわせ、アトラクション責任者を担当。1999年7月、運営本部運営企画室へ異動され、アトラクション全般の改善およびバリアフリー担当者となられる。翌年10月に『東京ディズニーリゾートバリアフリー分科会』を立ち上げ事務局として活動される。
2005年5月16日付けの組織改正において、運営企画室運営企画グループより運営統括部へと所属部署が変更されました。

野口様のご挨拶

皆さん初めまして、オリエンタルランドの野口と申します。本日はお招きいただきましてありがとうございます。これからのお話しはを見ながら説明させていただきます。

 左の写真は1983年に開業しました『東京ディズニーランド』です。お陰さまで23年目と無事運営が続いております。右側の写真に大きな火山が見えますが『東京ディズニーシー』です。大人の方がお酒を飲みながらゆっくり食事をしていただけるパークになっております。お客様から必ず聞かれることに『東京ディズニーシー』は『東京ディズニーランド』のどこにあるのですかという質問があります。その際お客様にご説明するのですが、それぞれテーマの異なったパークになっておりますので、ディズニーランドの中をいくら探されてもありません(笑)。皆さまにもあらかじめお伝えさせていただこうと思います(笑)。

TDRのご利用状況と、今までの取り組みについて

それでは本題に入らせていただきます。ふたつのパークにおけます昨年の年間の入場者数は約2,500万人です。多くの方々に来園いただいております。
車イスの貸し出し台数は、二つのパークでは100台づつの貸し出し用車イスを用意しております。ご参考までに、二つのパークにおける車イスの貸し出しは年間約30,000台です。
平成14年10月の身体障害者補助犬法施行後の補助犬来園数は、年間約10頭程で、非常に少ないといえます。来園の大半が盲導犬です。ですから介助犬や聴導犬について、多くのキャストは目にすることや触れることが出来ないためユーザーの方がどういう要望を持っているかということを、確認しづらい状況です。

1983年グランドオープンからパークの取り組みを、順を追ってお話しいたします。
最初に取り組んだ施策は、中央広場の段差解消でした。ディズニーではデザインが非常に重視されておりますので、ゲストの方にとってみると非常に識別が判りづらく、段差のあることが事前に認識しづらい、もしくは周りを見ながら歩く、ポップコーンを食べながら歩くことで、この段差に気付かずに転倒するということがありました。あとはベビーカーを押している方々が不便であるということで、段差の一部をスロープ化したことが、今思いますと私たちのバリアフリーの第一歩と捉えております。

様々な施策について

次に、ディズニーランドとディズニーシーのテーマ性を見比べながら、様々な施策をご紹介できればと思います。

最初は水飲み器についてお話しします。どちらのパークの水飲み器もそれぞれのパークのイメージ、テーマ性をしっかりと遵守して設置されています。ディズニーの水飲み器にはかならず大小が一緒になっています。車椅子を利用しているゲストや健常のゲストが併用して使用できるように設計しています。また、大小が一緒になっている事で、水飲み器を使う時に大人用の水飲み器でお母さんが水を飲み、小さい水飲み器でお子さんが使う時に必ず目と目が合う、顔と顔が向き合うようなデザインしています。

次は公衆電話についてお話しします。最近は携帯電話の普及でほとんど使われなくなっています。小学生の男の子に貯金箱みたいだね(笑)といわれたことがあります。時代の背景とともにいろいろな使い方、公衆電話機能も変わってきておりますが、開業当時、東京ディズニーランドの公衆電話の高さはすべて一緒でした。ある時、小さなお子様がお父さんお母さんに電話する時に高過ぎて番号が見えなかったため、キャストが電話番号は何番と聞いて押してあげたという話がありました。背の高い方、背の低い方がお使いになりやすいように高さを変えてあります。
昨今は携帯電話が普及していますから公衆電話はもういらないのではないかという声もありますが、不測の事態、災害発生時には携帯電話よりも公衆電話ラインが優先されることになっておりますので、パーク内から公衆電話を全てなくすことは出来ません。あまり利用されてはおりませんが、そのような理由から残しております。

次は視覚障害者の方にお使いいただいている〝触地図(しょくちず)〟です。
写真は東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの触地図です。左の写真は東京ディズニーランドのパーク全体を現した触地図です。これは、社内担当者が自分達で作った触地図です。私たちはこの〝触地図〟の文字を〝地〟を〝知〟に変えたり、〝触地知図〟に変えたりしてゆこうとしています。これは触ってもらって知っていただく形で、できるだけ高低差をつけたり、高いものには高さをつけたりとか、小さいお子様や視覚障害の方のみならず、いろいろな方々に触っていただき、パークのイメージを捉えていただくことを目標にしております。

次は、車イス優先レストルーム(お手洗い)です。
二つのパークには車イス優先レストルームは約40箇所設置しております。パークの外でよく見かける〝車イス専用〟という位置付けにはしておりません。車イス優先としてありますので、車イスの方にご不便をおかけしていることも事実でございます。何故優先にして専用にしないのかとの声があります。これは本来であれば男性用、女性用のトイレ内にそれぞれ車椅子を利用したり、ベビーカーを押したりする方々のために広めの個室を作るべきだと認識しております。
しかしながらパークには大勢のゲストの方々が入場しており、ショーやパレード等が終了した直後など多くの方々がトイレを利用されます。このため我々としては1つでも多くの個室が必要となるのです。このため大きな個室を男女共有とし、また使用していない場合は一般のゲストの方々にも使用して頂く事を目的に「優先」と位置付けさせて頂きました。
ただ昨今車イス優先レストルームしか使えないという方々もいらっしゃいますので、アテンダンスが高い日は、カストールであるキャストがこの前に立ちまして、一般の方ではなく、車イスをお使いの方、もしくはこのレストルームを必要とされる方をできるだけ優先とするインフォメーションをして、ソフト面での対応を行っております。

中の設備に関しましては、オストメート、介護ベッド、カーテン等をつけております。何故カーテンをつけているかと申しますと、介護者の方やボランティアの方が異性の場合がございます。使用される方のプライバシーを考慮し、カーテンを設置いたしました。

次に移動という部分でお話しいたします。
1階に乗り場があるアトラクションばかりではありませんで、2階が乗り場ということもありますので、昇降機(エレベーター)をつけております。乗り場が2階にある東京ディズニーランドのウェスタン・リバー鉄道にも昇降機(エレベーター)が設置されています。ただし公共施設のように、最新のデザインではなくテーマ性を遵守したデザインとしています。ディズニーシーのセンター・オブ・ジ・アースというアトラクションにも昇降機がございますが、ここは高低差は2m弱しかないのですが、テーマにマッチした昇降機をつけています。これらの施策によって、今ほとんどパークの中では、車イスをお使いの方が行けない場所はないと思われます。

ディスアビリティ エリア

昨今、多くの人々に楽しんでいただいているパレードの〝ディスアビリティ エリア (Disability Area)〟についてお話しいたします。
パレードの鑑賞エリアの一部分に車イスをお使いの方、もしくはいろいろな障害をお持ちの方がこのエリアにいってパレードを見て楽しんでいただくエリアです。
このエリアは、最初〝車イス エリア〟として運営を始めました。何故〝車イス エリア〟として始めたかと言いますと、多くの方々がパレードをご覧になります。その中でできるだけ多くの方々に安全に鑑賞していただくことで、シーティング、いわゆる座ってご覧になっていただくというルールをお願いしております。その中に車イス利用の方がいらっしゃいますと、混雑のあまり健常者の方が倒れこんだり、車イスが他の方々と接触したりすることが考えられます。
また、車椅子利用の方は座っている方より高くなるため、後ろにいる方は視線が遮られてしまうため立たなければいけないことになります。となりますと、その後ろの方も立たなければならずシーティングというルールが崩れてしまうことになります。
このよう安全面と多くの方々に観賞いただく両面から〝車イス 観賞用 エリア〟を作りました。この〝車イス 鑑賞用 エリア〟は、夏場は日なたになってしまうということもありますので、できるだけ日陰の部分を作っていこうと心掛けております。設定数については、ディズニーランドに3ヶ所、ディズニーシーにも3ヶ所ございます。
車イスの利用台数に関しましては3ヶ所合わせて約150台の車イスの方が観賞出来るようになっております。ただし同伴者の数によって混雑状況によって変動する場合があります。

手話ピン

〝手話ピン〟の運用についてお話しいたします。聴覚障害の方の来園における対応は、残念ながらハード的な部分は全て補い切れていません。そのため、ハード面での隙間を補うため手話ができるキャスト、もしくは手話を勉強しているキャストがおります。実際にパークにおいてこの手話を勉強しているキャストが誰なのか分かって頂くために〝手話ピン〟(ミッキーの手袋をはめた両手がデザインされている約15mmのバッジでキャストの胸のネームプレートの上に着用する)を着用しています。
このピンはミッキーの手が手話を表現している形でデザインされています。現在、東京ディズニーリゾートの中には約100名のキャストが〝手話ピン〟をつけております。私たちは手話ができるという表現は使っておりません。私たちは〝手話を勉強しているキャスト〟という位置付けでこの〝手話ピン〟をつけさせています。
ただし、着用においては「こんにちは」「ありがとう」が出来ればこのピンをつけるのかとの声もありますが、ピン着用の認定には社内において、月に1回私たちは〝手話ピン〟着用認定会を実施し、公正な評価判断のもとこのピンを着用させております。今後も、この手話ピン着用者が確実に増えるよう努めたいと思います。

ファストパス

〝ファストパス〟のご紹介です。健常者の方やいろいろな障害をお持ちの方がご利用になれるようなシステムです。簡単にご説明いたしますと予め希望するアトラクションのファストパス・チケットを発券機より受け取り、記載された時間に行くと、長い時間待つことなくアトラクションを利用できるというシステムです。現在東京ディズニーランド7箇所、東京ディズニーシー6箇所導入しております。

敷設誘導体

次はパークエントランス周辺のお話しになります。
エントランス周辺にある敷設誘導体のデザインについてです。モノレールもしくは舞浜駅からEGR(エントランス・ゲスト・リレーション)まで、敷設誘導体を設置し、視覚障害者の方々への対応をしております。直線の敷設誘導体は遠回りになり、デザイン的にもあまり面白くありませんので、私どもでは曲線の敷設誘導体、要は出来るだけ短い距離で目的地に行ける形での敷設誘導体を敷設しております。
また、パーク内に敷設誘導体がないとよく指摘されます。何故パークの中に敷設誘導体がないかといいますと、パークに来園される多くの方々の行きたい場所はそれぞれ違い、パークの施設全てに対し敷設誘導体を設置しますと、足元は敷設誘導体だらけになってしまいます。ですからパーク内ではゲスト・リレーションにつながる所以外には敷設誘導体はございません。あとはキャストが出来る限りサポートやご案内をさせていただいております。

東京ディズニーシーにおきましては、千葉県の福祉のまちづくり条例に基づきまして、音声ガイド・システムを導入しておりますので、敷設誘導体に替わるシステムという形で対応しております。東京ディズニーランドに関しましては、東京ディズニーシーの音声ガイドシステムの運用や利便性を参考にしながら、導入の検証をしております。検証にあたりましては、千葉県のみならず全国の様々な視覚障害の方々に来園していただき、検証していただき、コメントをいただき、反映させてゆこうとしております。

貸し出し用車イスのホイールカバー

貸し出し用車イスのホイールカバーについてです。重岡さん(電動車イスを操って活躍している当会プログラム委員)も素晴らしいホイールカバーをつけていらっしゃいます。私たちも車イスを借りる方が貸し出し用の車椅子を重々しく感じたり、または借りることを躊躇されたりすることがあります。何かいい策がないかなと考えながらパークを歩いている時に、個人所有の車イスにホイールカバーをつけている所からちょっとヒントをいただきました。
貸し出し用の車椅子においては車イスに慣れていない方が借りますので、衣服を巻き込んだり、手や指を入れてしまって怪我をされたりすることがあります。せっかく楽しみに来ていただいた方が、不快な思いや怪我をされる事は避けたいという思いから、市販されているホイールカバーではなく、やはり何か楽しいものを着けようということで、ディズニー側とデザイン調整の結果、現在のカバーをつけさせていただいております。大、中、小のサイズがあり、約200台の車イス全てにホイールカバーをつけてあります。実際に私も徹夜で取り付けたのですが、最後は指が動かなくなってしまいました(笑)。そんなこともありまして、このホイールカバーには強い思い入れがあります(大笑い)。
このようにできるだけ車イス利用の方も楽しんで使っていただきたいと思っております。この効果かどうかはわかりませんが、このホイールカバーを購入したいとおっしゃる方がいるのですが、残念ながら市販されておりません(笑)。どうぞご了承ください(とても欲しがっている様子の重岡さんに話しかけているようでした)。

字幕テロップ、インフォメーションボード

字幕テロップ、インフォメーションボードについてお話しします。
主に聴覚障害者の方への情報の提供アイテムです。パーク運用に関しまして、バリアフリーを担当する私どもといたしましては、聴覚障害の方々に対する情報提供が一番低く、至っていないと認識しており、まだまだ不自由な部分があるということです。今後におきましてもハードとソフト両面において全ての方々がよりパークで楽しんで頂けるサービスに取り組んで行きたいと考えております。
インフォメーションボードにおいても、電子パネルスタイルではなく、テーマ性を遵守したデザインにしてアトラクションの状況や待ち時間をお知らせしております。また、これまで無かった東京ディズニーランドにも、今年の3月から設置しております。

音声ガイドシステム

音声ガイドシステムについて。東京ディズニーシーの音声ガイドシステム(Voice Guide System)は、パーク内に約70箇所サインポストが設置してあり、その近くに行きますと自動的に音声が流れるシステムになっております。アトラクションの概要や詳細を知りたい場合には、機器にある詳細ボタンを押しますと、より詳しい情報音声が流れるようになっています。これはFM微弱電波で自動的に流れる仕組みになっております。電波を発信するサインポストを増やしたいのですが、ポスト同士が近く過ぎてしまいますと電波が干渉しあってしまいますので、増設については十分な調査、検証が必要と認識しています。貸し出しに関してはゲスト・リレーションにおいて保証金1,000円で貸し出し、返却時に保証金はお返しします。一ヶ月の利用状況は、20台程度です。使用においてはイヤホンを装着するため視覚障害の方には、両耳から入る情報が入りづらくなってしまうということで、骨伝導などいろいろ他の方法も考えております。

スケールモデル

これは主に視覚障害の方が、これから自分が乗るアトラクションがどういうものなのか、もしくはイスはどっちに向いているのか、スケールモデルを触っていただいてイメージを抱いていただくものです。私の好きなアイテムのひとつです。大きさは両手の中に入るサイズで作ってあります。 
このスケールモデルは、主に乗り物型のアトラクションをメインに作ってあります。例えば、センター・オブ・ジ・アース(ジェット・コースター・タイプのアトラクション)のスケールモデルでは頭の上の障害物や、イスの形状、床の部分の段差などを視覚障害の方に手で触って感じていただきます。
これらのスケールモデルは、該当するアトラクション及びゲスト・リレーションに置いてありますので、アトラクションに乗る時にもう一回触って頂く事も出来ます。素材はプラスチックではなく木材で作ってあります。何故木材なのかといいますと、木は非常に触り心地が良く、優しいということです。製作にあたっては外部発注せず、社内担当者が一生懸命作っております。数も増えておりまして、メインの乗り物のアトラクションはほとんど作り終わっております。

車イス搭載ポート、車イス搭載ビークル

次は東京ディズニーシーにありますアトラクション『シンドバッド・セブンヴォヤッジ』の車イス搭載ポートについてお話しします。今までは介護者の方が乗り場に行きますと、障害者の方を抱き上げてボートに載せるという介助を行っておりました。介助される方に体力的に大きなご負担が生じていました。何かいい策はないだろうかと思っておりました。キャストが抱き上げて載せればいいじゃないかという声もありますが、ディズニーのルールではメインのサポートは行いません。あくまでも補助的な部分でしかお手伝いできないという鉄則がございます。この負担を軽減する目的で車イス搭載ポートを作りました。できるだけシンドバッドのテーマを崩さないように造られています。また乗船にあたってはテーマ性と安全性の両面を踏まえ使用機器を設置しております。

次は東京ディズニーランドで最近開業いたしました『バズ・ライトイヤーのアストロブラスター』というアトラクションの車イス搭載ビークルについてのお話しします。これも先程と同様に私どもが用意してある車イスに乗り移っていただき、ビークルに乗り込むということになります。残念ながらこの車イスのまま乗り込めるビークルが1台しかございませんので、前に車イスの方が乗っているとそのビークルが帰って来るまで待たなければならず、ご迷惑をおかけしています。

手話パフォーマー

〝手話パフォーマー〟についてお話しいたします。「ポルト・パラディーゾ・ウォーターカーニバル」というエンターテイメントショーがあります。このショーの中で、ショーに関わる〝あらすじ〟を表現豊かに紹介します。導入には約3年の時間を費やしました。今後もこの様なショーには手話通訳ではなく〝手話パフォーマー〟を導入して行きたいと考えております。

キャストの〝教育プログラム〟

キャストの〝教育プログラム〟について簡単にお話しします。
ここで働くキャストは、四季によって若干の変動はありますが大勢おります。多くのキャストは、いろいろな障害を持っている方々との接し方は頭では何となくわかっているのですが、なかなか実践する事が難しいのが実状です。どうにかコミュニケーションが取れるようにしてもらおうと、疑似体験クラスを、パーク現業全キャストを対象とした教育プログラムを組んでおります。
世間では、開催していますが、私たちは疑似体験に参加する事が重要なのではなく、その疑似体験をどう活かすかという所に重点をおいております。今後におきましてもキャストへの教育プログラムの継続と、積極的に声を掛け何ができるかではなく、何をしたらいいですかということを遠慮なく聞く事の大切さを伝え広げたいと考えております。

身体障害者補助犬

次は身体障害者補助犬法のお話しです。身体障害者補助犬法は2002年5月に施行されましたが、この法案の浸透は低いのが実状です。私も知り合いの盲導犬ユーザーの方と、大阪のお好み焼き屋に入店を申し出たところ「外に繋いでおいてくれたらいいです」と言われましたので、「外ではしょうがないのです」と言った所、その店長が「私はいいんですけど、お客さんがね」という表現でばっさりと断られました。このようなことがパーク内ではあってはいけないと思いまして、受け入れについて一生懸命取り組んでいる所です。アトラクションをご利用いただく上であえて文字にさせていただきました。

 ◆アトラクション(ユーザーの方への利用規定確認)

  • スリルライド系(拘束装置)は利用不可
    例:コースタータイプのアトラクション
  • 劇場、船舶等は利用可能
    注)キャスト預かり不可

◆フード店舗

  • 全ての店舗において利用可能
    注)周辺の席へ既に着席している、他のゲストへ補助犬の利用がある旨を伝える。 (アレルギー等)

◆商品店舗

  • 全ての施設において利用可能
  • 介助犬による商品を咥える行為に対しても容認

アトラクションを利用する場合、ユーザーの方がいろいろなアトラクションにどうしても乗りたいと希望され、無理に乗って補助犬が恐怖を覚えてしまい、一歩も動かなくなってしまったケースが過去あります。『カリブの海賊』に乗っていただいた事がありますが、『カリブの海賊』は一部ウォーター・シュートになっている所があります。そこを通過した所でシェパードの盲導犬は外に出たくなって暴れ始めてしまいました。ユーザーの方が一生懸命抑えて何とか外に出ました。その後『ウェスタン・リバー鉄道』、これは単純な汽車なのですが、そこに乗ろうとした所、犬は足を踏ん張って動かない(笑)というようなことがありました。私たちも勉強させていただきましたし、ユーザーの方も勉強されたのではないかと思います。
飲食施設おいては、犬に対するアレルギーをお持ちの方も中にはいらっしゃいますので、補助犬を入れる場合に必ず周辺のテーブルで食事をされている方には、キャストが「補助犬の利用がありますけれども宜しいでしょうか」と確認を取るようにしております。
商品店舗に関しましては、特に介助犬の場合は〝咥える行為〟が必要になってくる場合がありますので、商品を咥えていることに関してもユーザーの方にお任せしております。咥えることによって汚れたり、疵が付くという事もありますが、キャストに遠慮なくお声掛けをしていただきたいと思います。

最後になりますが、補助犬の排泄に関しましてはパークの中ではさせづらいということがありますので、カストーディアル・キャストに申し出ていただければ、バックステージにご案内することになっております。排泄物に関しましても、ユーザーの方が持ち帰えられますが、遠慮なく言っていただければこちらで処理をさせていただいております。

わかりづらい説明だったかと思い、まだまだ説明したい部分もございますが、ディズニーリゾートのバリアフリーの取り組みにつきましてのご紹介でした。ありがとうございました。(大きな拍手)


この後、お持ちいただいた資料の説明をしてもらいました。

〝携帯蝕触地図〟 主に視覚障害の方々にインフォメーションCDと合わせて事前資料として送付しています。パークの中で持って歩いていただけるよう携帯用として作成いたしました。携帯といいながら大きすぎるだろう(会報担当注:大型のバインダー式の写真アルバムサイズ)とわれますが、これ以上小さくしますと触ってわからなくなってしまいますので、この大きさといたしました。青がディズニーシーカラーでディズニーシーです。もうひとつが赤いディズニーランド用です。

次に〝ストーリー・ペーパー〟です。(会報担当注:約30種ほどあり、A4版の1/3の大きさになっている、カラー製、裏表のやや厚めのカード)聴覚障害の方に対する情報の提供について補い切れていない隙間を埋めるために作成いたしました。ショーの内容についてはアトラクション利用の際に知っていただく情報を載せております。ただし何から何まで全てを標記してしまいますと、乗っていただく楽しみが半減してしまいますので(笑)、一番いい所で止め、私たちのスタンスはできるだけお伝えするショーの内容は最小限に抑え、大きさについてもパークのガイドブックの大きさと同じサイズに留めました。配布する事によって、養護学校の生徒さんで、人としゃべる事が苦手という方が、もらうために一生懸命しゃべりかけてくるということで先生方から喜ばれた例がございました。

次は〝インフォメーションCD〟です。視覚障害の方でなかなかパークにいらっしゃる機会がない方や来園する前の事前情報として活用頂ける様準備しました。視覚障害の方が知りたいことに、例えば『ブロードウェイ・シアター』には正面に向かって右側に5段の階段があること、左側には約20cmの段差があること、等の情報を付加したものです。ディズニーランドとディズニーシーそれぞれCD1枚づつになっております。ご要望があれば無償で送付させていただいておりますので、どうぞご連絡ください。

最後のアイテムは〝インフォメーション・ブック〟です。障害をお持ちの方全般にお使いになっていただく冊子です。車イスご利用の方のために、車イス優先トイレの位置、トイレ内部の便座の位置、向き、ベッドの大きさ等を掲載しております。アトラクションではどのような利用規定がありますよということができるだけ判り易く記載しております。字は以前は小さかったのですが、私も段々見づらくなってきましたが(笑)、字も大きくした関係でページも増えてしまった所もありますが、そのような総合インフォメーション・ブックです。

この後、出席者の自己紹介といくつかの質問に丁寧にお応えいただきました。お話しを伺って初めて知るディズニーの精神、キャストの皆さんの取り組み、又訪問したくなってしまいました。私たちの社会全体が野口さんの世界になるといいなと夢見てしまいました。本当にありがとうございました。

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