「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

2005年4月 定例会の報告
「人工透析の方でも参加できる旅行のお手伝い」

講師 :長谷川 久子(つねこ) 様
     株式会社 ジェイティービー東京品川支店
     営業第一課 手配グループリーダー
会場:株式会社ジェイティービー 東京品川支店 会議室
日時:2005年4月16日 19:00~21:00

講師の長谷川様は、現在株式会社ジェイティービー東京品川支店に勤務され、人工透析を受けている方向けの旅行に携わっていらっしゃいます。
東京品川支店ではこれまで100回を超える海外透析ツアーの実績があります。
また、現在はフレゼニウス社(FMC/ドイツの透析製品・サービス供給会社のトップ企業)と提携により、同社の海外透析クリニックのネットワークを利用した「海外透析予約サービス」を行っている、人工透析ツアーのプロフェッショナルです。

長谷川様のご挨拶

ご紹介いただきました長谷川久子です。JTBに入社して13年経過しましたが、その内の12年間、人工透析の必要な方々のご旅行に携わってまいりました。携わったきっかけは、自発的なものではなく(笑)、パイオニアになろうとか考えたわけでもなく、前任者からの引継ぎという環境にあったからでしたが、紆余曲折を経てやってきたことを今日はお話しをさせていただきます。

今回冨吉さん(当会プログラム委員、JTB社勤務)から最初にこのお話しをいただいた時、私は人前で話をすることが苦手ですし、私にとって人工透析を必要とされる方の旅行は、一般の方に旅行を販売することとは少し違いますが、お話をする程特別な事ではないと思っておりましたのでお断りしておりました。何度かお話しをとの依頼をいただきまして、もしかしたら皆さんのご期待に副う話ではないかも知れませんが、私の話にお付き合いいただければと思っております。

今回お話しする内容を簡単にA4に紙にまとめさせていただきました。

(参加者に配られたA4のレジュメ内容)

  1. 人工透析とは
    慢性腎不全等で腎機能が低下となった患者さんが血液を人工的に濾過
    する治療法。患者数 22万人。年間1万人ずつ増えている。週3回・4時
    間病院での治療が必要。
  2. 「海外透析ツアー」
    1989年より実施(ハワイ・グアム)。90年代半ばよりヨーロッパを開始し、現在はヨーロッパが主体となりつつある。2004年実績11本(ヨーロッパ7、アメリカ・アジア・ハワイ・オセアニア各1)、110名取扱い。
    他社(近畿日本ツーリスト、大阪旅行、名鉄観光)も実施。
    透析の知識を持った添乗員の同行、透析治療中は通訳専門同席。
  3. 当初の問題点
    病院の確保
    ツアーの認知
  4. お客様からの反応
    人工透析をしていても海外旅行ができる
  5. 業界・社内からの反応
    「病人」を連れて行くリスク
    病院の選定基準
  6. 今後の展望
    患者さん同士のコミュニケーションの場
    FIT対応

人工透析とは?

皆さん既にご存知かと思いますが、人工透析とは何かについて最初にお話しします。

慢性腎不全や糖尿病から、腎機能が低下して、具体的な症状としては尿が出なくなったり、血液中に不純物が溜まって尿毒症などをおこすなど、身体には良くないので、治療が必要になります。人工的に血液を外に出し、機械で濾過し、体内に戻すのが人工透析です。
この人工透析は、一般的に患者さんは週3回、4時間、病院での透析治療が必要となります。もしこの透析に行かなかった場合どうなるかといいますと、4日目頃から毒素が体中に回って、5日目頃には亡くなってしまうことになります。

日本にはこの透析を受けている患者さんが22万人いると言われており、糖尿病は成人病のひとつといわれているのですが、年間約1万人ずつ増えていると聞いております。
そう申しましても、現在の生活をしている中で、週3回、毎回4時間、病院に行かなければいけないということは、時間的な制限がありますし、透析を受けないと死んでしまうかも知れないという精神的打撃を受けられる患者さんが多いということも聞いております。
こういった人工透析以外に、透析にはもう1種類、腹膜透析があります。この腹膜透析を行っている患者さんは日本では透析人口の1%と言われ少ない人数です。
私は、腹膜透析の方ではなく、血液透析、人工透析の方の旅行に携わっております。

人工透析を始められる平均年齢は65歳位です。若い方もいらっしゃいますが、だいたい65歳位から始められるということで、旅行に参加される方も60代後半の方が多くなっております。
人工透析の患者さんを対象とした海外透析ツアーは、当社JTBでは1989年より実施しております。当初何故始めたのかと申しますと、その頃他の旅行会社さんでも実施されており、私の前任者の親類の方に人工透析をされている方がいらしたそうです。透析をしているとなかなか海外旅行に行けず、精神的打撃もあり、楽しむことが何も無いではないかという姿を目にされたそうです。そういう方のニーズ、透析しながらでも海外旅行に行けるのだということがきっかけであったそうです。

「海外透析ツアー」

一番初めはハワイ、グアムへの旅行でした。いわゆる一都市滞在の旅で、ゆっくりしていただくといった旅でした。その他にアメリカの西海岸であるとか、東南アジア、オーストラリアも実施しました。

今は私どもではほとんどヨーロッパに軸足を移しております。ヨーロッパ方面は90年代半ばより始めております。
何故ヨーロッパに軸足を置くようになったかといいますと、患者さんの年齢が65歳以上ということで、他の旅行であっても60代後半の方はヨーロッパへ行かれる方が多いと思うのですが、最初は行きやすい所からであったのですが、もう少し遠い所へ行きたいと希望される方が増えてきまして、ヨーロッパがメインになってきました。

以前は一都市に滞在していれば良かったのですが、ヨーロッパになってからはいろいろと周りますので私どもとしても病院の手配が大変になります。
これまで既に100回を超えて実施しております。年間平均10本から15本企画しております。昨年実績ではヨーロッパが7本、アメリカ、アジア、ハワイ、オセアニアを各1本催行いたしました。人数ベースでは患者さん同行者含め、昨年は110名様の取り扱いをさせていただきました。

ただこのような募集をいたしましても残念ながら催行中止になることもあります。他の旅行会社、近畿日本ツーリスト社、名鉄観光社、大阪旅行社などが同様の旅行を実施されております。他社の場合も、競争が激化しているからかどうか理由は不明なのですが、どの会社も以前のように100%催行されることは難しくなっていると聞いております。

以前は透析の患者さんが海外旅行に行く場合は、3~4ヶ月前から体調を管理され、渡航に対しても準備されていらっしゃったのですが、最近は本当に気軽に行け、バーがとても低くなった理由から2週間位前でも「ヨーロッパに行くツアーはないか」との問い合わせが増えております。行き易くなったのかなと思う反面、体調が急に変わったということでキャンセルされる方も以前に比べて増えていると感じています。

当初の問題点

当初、私どもでこういった旅行を企画するに当たって、いろいろ苦労していたことをお話しします。まず病院の確保という問題があります。日本では患者さん約22万人ということなので、例えばターミナル駅にもありますし、普通の住宅街にもあり、駅前にも沢山クリニックと呼ばれている施設があります。
しかし残念ながら海外では、人工透析という治療法自体が日本ほどには普及していないということがあります。何故かといいますと国によっては、特にヨーロッパでは腎臓が悪くなれば腎移植を受けられる方がほとんどであり、人工透析は腎移植を受けるまでのつなぎの医療と捉えられております。ですから透析される年数も4、5年なので、おのずと病院数が少ないことになります。

アメリカではお金のある方はどんどん移植をされるので、透析を受けている方は低所得の患者さんということになります。アメリカでは日本の透析のやり方が違うため、日本で透析を受け始めてからの患者さんの平均寿命は17~8年と言われておりますが、アメリカでは透析のやり方が乱雑であるためか寿命が大変短いといわれております。施設数はある程度はあるのですが、それらの点から日本程のニーズがないと言えます。

オセアニアでは急激な患者数の増加で、そのため旅行者の受け入れはとてもできないという現状があります。また、アジアではこの透析治療にはお金がかかるということで、お金持ちを対象とした病院しかないのが現状です。このようにそれぞれの方面の特性があります。共通して言えることは、日本のようにそこかしこに施設がないということが言えます。このような理由で日本から病院を手配したいと言いましても、なかなか病院確保ができないという問題点がありました。

どのように病院を確保していたかといいますと、私どもの現地支店から手配する方法を取っておりました。初めてツアーを実施する時に、はじめは内々で行っていればよかったのですが、回を重ねて行きますと、ツアーを告知して集客してゆかなければならない訳です。この集客については患者さんの組織団体への広告も出して行きました。広告を出した当初、反応は少なかったのですが、回を重ねることで徐々に認知度が増してきました。

お客様からの反応

お客様からの反応ですが、ご参加いただきましたお客様の声としましては、透析をしているのでもう海外旅行へも行けない、地獄のような毎日になると思っていたけれども、人工透析をしていても海外旅行に行けることがわかったので、海外旅行を目標に日々生活しているといったお話しもいただきました。また、海外旅行が目標ということで、患者さんにとってのクオリティ・オブ・ライフ、生活の張りの場所として捉えられていただいているのではないかと感じております。

こういった透析患者さんを募集しているツアーですので、日頃なかなか患者さん同士の横のつながりが持てないそうですので、このようなツアーに参加していただくことによって、患者さん同士がお友達になって、自分たちの病院の問題であるとかの情報交換をして行く場になってきています。

業界・社内からの反応

旅行業界と社内からの反応についてお話します。
当初病院の確保は、私どもの在外の支店からと病院を当たっていたと先ほどお話ししました。実は在外の支店も、とりあえず透析の患者さんが行くから病院を確保してくださいとお願いしても、大きな病院を闇雲に当たっていたのが現状でした。果してその病院が医療面において患者さんの受け入れに最適な病院であるかについては、実は一旅行業者では残念ながらわかりません。勿論わたしたちのグループ会社には保険会社などもございますので、そういった中で病院とのお付き合いが無い訳ではありません。また在外の支店はそれぞれに日本人コミュニティーなどのつながりから、日本人が使う病院など把握していることはありますが、はたして問題が起きた時にその病院を選定してよかったのかということは、社内からも問題にされておりました。

私が携わるようになってからも、毎年のように本社から呼ばれて、「あなたは人工透析のツアーを催行しているが、本当に大丈夫なのか」と言われたことも多々ありました。確かに事故は起きませんでしたけれども、一旦そこの病院で事故が起こった時に、私ども旅行会社と参加いただいた方との契約の中には、病院の治療中に起こった事故について責任は持ちませんと記載しておりますが、社会的責任があります。患者さんから見れば、JTBがその病院を予約したのであるからJTBとしての責任があるだろうとなります。そういった選定の基準を解決できないかと、社内でもいろいろと考えておりました。例えば透析の部分だけは外部委託して旅行だけを催行するであるとか、このような患者さんを対象にしたリスクの大きなことは止めてしまおうといった意見もなかった訳ではありませんでした。

しかし誰でも旅行を楽しむ権利はあるのではないかと、問題点はクリアして行こうということで、色々考え検討し、2003年の4月から、お手元のカラー・パンフレットにも記載されていますが、フレゼニウス・メディカル・ケア社と本格的な提携をし、現在では同社による病院の選定が行われております。このフレゼニス社との病院選定自体は、かれこれ7~8年前から行っておりましたが、大々的に提携したのがこの2003年からのことでした。

ここでフレゼニウス社とはどのような会社かについてお話しします。
人工透析の周辺の機械及び器具を製作している医療機器メーカーです。それ以外に海外では病院を経営もしています。一般の病院の医療面、人工透析のコンサルティングもしている会社です。病院選定にあたっては、フレゼニウス社がその病院を経営していなくても、少なくともコンサルティングをしている病院を使うと言う話し合いを持ちました。フレゼニウス社がコンサルティングをし、医療水準チェックをクリアした病院しか使わないという形で行っております。
こういった契約を結ぶことで社内的にもリスクが軽減されることになり、社内を説得してゆくことが可能になりました。この数年、旅行業界内で、誰でも旅行する権利があると考え方も変わってきておりますので、人工透析を行っている方の旅行を取り扱っている私どもとしても、追い風とはいいませんが、以前のように逆風ではなくなってきております。

今後の展望

12年間、人工透析の旅行に携わってまいりましたが、その間、傾向も変わってきております。初期には「透析をしていても海外旅行に行けた」であったものが、最近ではお客様の求めているニーズがどんどん高くなってきております。例えば、透析のツアーは高いといったご指摘もいただいております。

何故高いのかといいますと、人工透析のツアーは少人数であり、一般の旅行のように決まりきった行程ではなく、ゆったりとした日程を組むために現地地上費用が高くなってしまうことがあります。一回当りの参加人数が多いと、現地病院に7、8床しかなく、それ以上受け入れができないため少人数にせざるをえないこともあります。人工透析に精通した添乗員を同行させていますので、少人数に添乗員を派遣するため費用が高くなってしまいます。透析実施の間、医療通訳をつけていますのでそういった費用も加算されます。それら諸条件が旅行代金に反映されてしまい高くなってしまいます。常に企業努力は怠り無くしているのですが、実施本数をどうしてもあまり増やすことができないことや、1回あたりの参加人数を30名から40名集めれば参加費用も下がるとはわかっているのですが、これらの理由からなかなか出来ないというのが現状です。

患者さんとしても旅行費用を安くしたいということがあります。これは一般的なパッケージ旅行に参加される方にとっても、自分達が好きな時に、自分達の思った内容にしたいという個人旅行が海外旅行では大変増えてきております。
透析をされている方も同様に個人旅行化しております。以前であれば個人旅行では病院の予約もとれないし、自分ひとりでは不安でたまらないといった方が多かったのですが、何度も海外に出てゆくことによって、自分ひとりで以前に行った事があるので、病院も何とかなるなと思って、今回からは自分一人で行きますといったニーズもあります。海外旅行参加者は1980年代の後半から増加してきました。透析される以前に海外旅行に行かれているので、最初からこのようなフルケアのツアーではなくても、自分は大丈夫、海外旅行慣れしているよといった方も多いので、益々個人旅行化しているのも事実です。

私どもではこのフルケアのパッケージ海外透析ツアー以外にも、普通の旅行、一般パッケージ旅行のハワイ5日間、8、9万円、こういったツアーに透析の予約だけ手配すればお安く行けますよとた個人旅行の対応もしております。ちなみに透析予約だけ、透析予約と一般ツアー対応も私どもではしているのですが、昨年1年間で124件取扱いさせていただきました。フルケアの人工透析では昨年約60名の透析患者さんのご参加をいただいておりますので、実際にはその倍くらいのお客様が個人旅行で旅行にお出かけになっていることになります。

内訳でいいますと、私どものフルケアのパッケージ・ツアーはヨーロッパを主体にしておりますが、個人旅行型ですとハワイが約半数を占めています。ハワイにもフルケアのツアーもあるのですが、ハワイの場合は5日間と短い方もいらっしゃれば、10日間とか3週間滞在されたいという方にも対応できますので、個人型を勧めさせていただくこともあります。アメリカが1割、ヨーロッパが2割、アジア・オセアニアが2割といった割合です。個人旅行でヨーロッパ方面は2割ほどのお客様のお申込みをいただくのですが、ヨーロッパに個人旅行で行かれる方は比較的若い方が多いです。30代から40代の方です。体力に自信があって、語学もある程度自分で出来る方といえます。ヨーロッパ旅行を希望されている方には、フルケアの人工透析パッケージ旅行と個人旅行の両方をお話しするのですが、折角ゆくのだからいろいろ見たい、巡りたいというご希望が強く、フルケアのパッケージに参加されるケースが多いです。
先程の124名様のうち当品川支店で旅行を申し込まれる方が35%程度、最寄りのJTB支店、北海道から沖縄まで、で旅行を申し込まれ透析予約だけという方が25%。残りの40%の方がインターネットなどを利用されてご自身で旅行を決めて、透析予約のみを品川支店で申し込まれていらっしゃいます。

勿論私どもは旅行会社ですので、この40%のお客様にも当支店から旅行を申込んでいただきたいと考えているのは本音ですが、現在は旅行会社を通さず旅行に行かれている方が増えてきており、透析に関しても同様の流れかなと感じています。40%の方全員がご自身で航空機を予約されている訳ではなく、他の会社のパッケージ旅行に参加して透析の予約だけを申し込まれるケースも多くなってきています。

実際にお客様の旅行相談をさせていただいおりますと、本当に皆さん求めていることはいろいろあるのだと実感しています。どうして海外旅行に行くのかといいますと、例えば、透析をしているけれども語学留学に行くので、その間の透析予約を取って欲しい。又よくあるケースはお嬢様、息子さんが海外で結婚式を挙げるから、透析をしているので結婚式出席はあきらめていたが、こういった旅行があると知って行けるとお申込みいただく方。勿論自由に動きたいからということでお申込みいただく方、いろいろございます。ただ、透析の予約は、既にお話しさせていただきましたように、海外では日本程病院がないということもありまして、透析専用パッケージ旅行であれば最初に10名様位と病院を予約して行きますが、個人旅行の対応の場合、お客様のニーズに合わせて透析の病院の予約をすることになりますと、なかなかお客様のご要望通りに予約できないことも多いです。この場合は旅行日程を変えていただいたり、ご要望通りに予約が取れないために旅行をあきれまていただくことも残念ながらあるのが現状です。透析患者さんの海外旅行へのハードルが低くなったとお話しをしましたが、たまにお医者様から止められているのにお申込みされる方もいらっしゃいまして、これはちょっと困った事例といえます。

今後、個人旅行の対応は、透析の患者さんの個別のニーズにどれだけ対応できて行くのかというのが私どもの仕事であるのかなと思っております。海外透析ツアーに関しましては、患者さん同士のコミュニケーションの場を提供するというスタンスでも考えておりますので、今後会員組織化を図って行くことも考えております。そういった中でお客様から、今度はこういった形でツアーを組みたいのだけれどもというご要望をいただいてツアーを組むことも、昨年から少しずつですけれども実施してきております。そういったお客様からの声を聞ける場を作って行きたいと思っております。

以上が私が関わってまいりました現状についてのお話しでございます。ありがとうございました。
(大きな拍手)

質疑応答

この後、セミナー出席者から自己紹介を兼ねて質問や感想を伺い、お答えいただきました。

◇最初のプログラム委員の質問、具体的に申込みからの流れを簡単にお話しいただきました。

(海外透析ツアーの場合)旅行の申込みが最初にあります。透析についてどうするかをお話しします。

まず、透析の診断書と検査データを出発の一ヶ月前にお客様から提出してもらいます。その中に日本の掛かり付けの医師の旅行に行っても良いという同意書もつけてもらいます。少なくてもお医者さんに同意していただかないと私どもでは受け付けできませんとしています。

診断書をいただき、内容に漏れがないかをチェックし、現地の病院へ送ります。まれですが、現地病院から条件にあわないのでこの患者さんは透析できないと言ってくることもあります。それらをお客様と、旅行先の病院ではこのような条件ですが、大丈夫ですかなどとお話し確認させてもらいます。最終的にそのお客様もその条件で大丈夫ですとなり参加できることになります。

現地病院でも問題なく受け入れられますとの了解をもらって旅行を催行する形になります。検査データが足りないであるとか、検査結果がどうなっているのかなどの問い合わせはありますが、最終的に現地からNOといわれるのはこれまで2、3例しかありませんでした。

どうしても海外旅行に行きたいと望んでいても、日本のお医者さんが診断書を書いてくれないケースもあります。お医者さんの診断書から確認をさせていただいております。一番厳しい例として、診断書は書きましたが、私はこの患者さんが海外に行った場合、命の保障はないです、というものがありました(笑)。その時はお客様にお断りさせていただきました(笑)。

透析手配のやりとりは、個人のお客様の場合もほぼ同じです。個人のお客様の場合は診断書のやりとりの前に、お客様の旅行日程に合わせた形で、透析の病院自体の予約をとります。その予約を取ることと診断書を用意していただくことがほぼ並行した流れになります。

参加者からの質問など(抄録)

  • 当会会報担当 旅行会社勤務
    質問1:透析データを英訳して書類を作成する手数料は?
    答え:
    診断書は英文診断書を作ってもらいますので、患者さんご自身が病院に支払います。簡単な診断書なので日本語でも英文でも5,000円位と聞いています。透析専用パッケージツアーでは病院の手配手数料込み料金となっている。個人で透析予約を行う場合は、1病院当りの手数料を19,950円。提携しているフレゼニウス社から2万円以下にとの要望から決めている。透析予約だけの場合は海外とのやりとりを考えると現行の手数料では採算的には厳しいのが現状。しかし透析旅行の販促になればと考えて実施しています。

    質問2:透析ツアーに透析をされない同行者の場合は手数料を含んでいる分は?
    答え:
    同料金をいただいています。時々お客様から同様の申し出がありますので、料金差を設けることも現在検討中。
  • 旅行会社勤務
    質問:
    14,5年前に有志でハワイに透析ツアーを行った時、快適な施設だと思いました。ホテルの中で透析が可能と聞いてうらやましかった記憶があります。
    質問:ヨーロッパに軸足が移ったのは、この支店がきっかけであるのか、それともお客様のニーズが先であったのか?

    答え:
    お客様のニーズが増えたため、徐々にヨーロッパに軸足が移った。フレゼニウス社との提携は2003年からですが、それ以前からお付き合いはありました。提携がきっかけではなくニーズの増加だと思います。
    ハワイ、シェラトン・マウイの透析施設は1990年前半頃に残念ながらなくなりました。
  • 旅行会社勤務
    質問1:
    患者さんがお薬を飲んでいる場合どうするか


    答え:
    現地では入手が困難なので、滞在日数プラス2、3日分をお客様に持参してもらう。一度、必ず手荷物に入れてくださいといったお客様がひったくりにあって困った(笑)。大切なものは分散して持つべきだと思う。

    質問2:
    海外旅行障害保険について、疾病の制限がどうなっていますか


    答え:
    人工透析をされているかたは制限額がある。問題は透析中の事故です。透析が起因する場合は保険金支払いはないが、そうでない場合は全額ではないが支払われたケースがある。起因するかどうかの判断は病院発行の診断書によって保険会社が判断する。
  • 会社員。弱視の障害があります
    質問:
    医療通訳について。現地の方を時間で雇用されるのですか。医療通訳の役割は医療スタッフと患者さんの橋渡しですか。


    答え:
    医療専門の通訳を手配しています。人工透析について下調べをしてくれています。役割は医療従事者ではないので、医療行為はできないが、気持ちが悪い、腕が痛いなど、患者さんが今何を求めているかを医療スタッフに伝えてもらうことです。よくある例は、血液流量を変えて、足がつる、貧血で気持ちが悪いなどです。
  • 航空会社勤務
    質問1:
    パンフレット記載の機内食は事前にとあり、機内食はスペシャル・ミール手配が可能ですが、現地の食事はどうされているのですか。


    答え:
    ドイツなどのように塩辛い食事を出す地域では、塩分控えめと現地に連絡を入れています。しかし、100%ではなく努力事項として行っている。お客様に確約はしていない。レストランによっては一切駄目な所もある。機内食の塩分控えめメニューは以外に希望される方は少ない。依頼した人も往き食べたら味気ないので復路は普通の食事にしてといわれることもあった(笑)。ご自身メニューについて精通しているので自制されて摂って調整されている方がほとんどです。

    質問2:
    FIT対応とパッケージに透析手配を付けた場合の料金の違い


    答え:
    フルケアの内容と同様にすると同じ金額になる。費用を安くしたい方には通訳、送迎などを省くことで反映するように提案している。中には高くて構わないのでフルケアのサービスを希望される方もいる。
  • 留学生
    質問:
    海外から日本へ来たお客様の人工透析はどのようになっていますか


    答え:
    詳しくわかりませんが、関係セクションのスタッフの話では何件か実際にあり、病院を紹介しているとのことです。
  • 旅行会社勤務
    質問:
    先進国での透析は安心だが、アジアなど行きたいが不安という友人がいる。この点は同対応しているのか


    答え:
    一定の医療レベル以上の医療機関を利用するようにしている。アジアだけでなく先進国と呼ばれている国でもあまりレベルは変わらない。それは日本の人工透析体制が一番進んでいるからです。アメリカ、ヨーロッパの腎臓移植までの繋ぎ治療と違い、日本では人工透析が治療として確立しているからです。ヨーロッパでは日本よりも劣りますと事前に案内している。毎週通っている慣れた医療スタッフの対応と比較する100%の期待は困ると話します。アジアでは二極化しており、タイ、シンガポールは日本と同水準もしくは日本よりも手厚い治療が受けられる。
  • 当会事務局長
    質問1:
    海外での治療費(透析代金)の還付手続き書類を作成しますとは


    答え:
    1回当りの透析治療費はおおよそアジアで3万円、アメリカ、ヨーロッパで5万円、北欧で7万円かかる。治療費は払ってもらい、帰国後、社会保険または国民健康保険で海外療養費というシステムがある。必要書類を現地病院で記載してもらい所轄の社会保険庁または国保事務所に申請し全額ではなく定額(2万数千円と記憶)が還付される。裕福な健康保険組合では全額還付されることがある。書類作成するが申請は本人が行う。

    質問2:
    医師の賛否について


    答え:
    ほんの一部の医師がいい顔をしないことがあるが、大方の先生は賛成してくれる。
  • 当会運営委員
    質問1:
    透析の知識を持った添乗員の知識とは


    答え:
    透析とは何か習得し、お客様に対する配慮、病院の対処など過去透析ツアー添乗員からの引継ぎをする。一度は透析病院を見学しておくことがある。

    質問2:
    配布してもらったドイツ透析ツアーと一般のツアーの内容の違いは


    答え:
    事前に透析予約を取ることはとても難しく、透析予約を受けてくれる病院もかぎられている。一般のツアーの行程に合わせて透析予約をすることはとても難しい。その一番困難である透析予約を済ませてあるツアーであることが一番の違いです。

    質問3:
    FITが増え、採算上あまり良くない透析予約だけも増えているとのことだが、今後はどのようにして行くのか

    答え:
    今後私どもの支店の方向性は、FITは増えていますが、透析ツアーを止めるつもりはありません。FITと透析パッケージツアーをお客様は行ったりきたりして利用している。加齢とともにフルケアの透析パッケージツアーを選択されたり、透析予約の簡単な地域はFITを利用し、難しい地域はフルケアツアーを利用している。両方の形態を続けて行きたい。透析予約のみのお客様については赤字ですが、なるべく私どもの旅行に申し込んでもらうように魅力的な旅行商品を提案してゆきたい。
  • 当会運営委員旅行会社勤務
    質問:
    パンフレットに記載されている「ご参加いただく上で疾病及び歩行障害等がないこと」とありますが、この歩行障害について教えてください


    答え:
    車イスを利用している人が参加申込みされてきたことがあったが、車イス対応のバスを使用している訳ではなく、車イスの方の対応まではしてないということです。介護型車イスの透析患者の方も申し込まれることもあるので、そのお客様の状況によりケースバイケースです。人工透析の二次障害として歩行障害になるということではない。
  • 当会代表
    お話しを伺い時代の流れ、変化を感じた。昔は冒険であったが今は行きたい所に行ける、今日の話を聞いて痛感した。

    質問1:
    予約確保が出来なかった時に旅行催行を中止するとの事だが、その時の取消料について


    答え:
    透析フルケアの旅行では予約が取れてから募集するので、お客様の都合による取消しかない。ハワイは比較的予約が取れやすいので30日前まで受付、その他は45日前までとしており、予約が取れてから正式申込みとしている。それまでは経緯を報告するなどしている。

    質問2:
    長谷川さんが添乗された時のエピソードをいくつか教えてください


    答え:
    ゆとりを持って企画したつもりでも、実際に同行して一緒に病院へ行き患者さんに同行すると、思ったほど余裕が無かったと思うことがある。

    質問3:
    アメリカ、ヨーロッパでは腎移植へのつなぎ治療との事。腎移植を事業化する考えはないのですか


    答え:
    腎移植の商売をするつもりはありません(笑)。

    質問4:
    国内旅行している人の透析実態をわかる範囲で教えてください


    答え:
    他社に国内透析ツアーを専門に行っている会社がある。国内では担当医の先生が他の病院に連絡を取って実施しているのが多い。
  • 当会運営委員
    質問:
    質問したかった質問を皆に先を越されてしまいました。ひとつだけ質問ですが、お薬の置き忘れなどは無かったですか。


    答え:
    置忘れは、、、無かったですね(笑)。もし無くした場合は診断書に処方薬が記載されているのでそれを参考に入手します。診断書とお薬は一緒に持って行ってもらっている。
    お医者さんが行ってはいけないと言った場合は、その危険度を考慮して参加を止めます。旅行業なので医療上の理由でNOを言われた患者さんは参加いただくことは困難です。

長谷川さん今日は本当にありがとうございました。(大きな拍手で感謝)

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