「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

2005年1月 定例会の報告
北の大地のユニバーサルのプチホテルより

講師:ユニバーサルデザインのプチホテルピュアフィールド風曜日
    経営者 三木 亨(とおる)氏 【北海道・弟子屈町】

・27年9ヶ月のサラリーマン生活を終え1999年4月創業6年を迎える。
・今までの秘話や、最近では「まちづくり」にも一役かっているご様子ですよ!

重岡利栄子プログラム委員からご紹介がありました。
ピュアフィールド風曜日、ユニバーサルデザイン・ホテルを経営されていらっしゃいます三木さんは、ねずみ年でまさに団塊の世代まっただなかだそうです。奈良県のご出身で東京育ちです。大学ご卒業と同時に富士ゼロックス社に入社され、以降27年9ヶ月サラリーマン生活を過ごされ、1999年4月にピュアフィールド風曜日を始められました。今年(2005年)で7年目を迎えられるそうです。三木さんは当会〝もっと優しい旅への勉強会〟の会員でもありますので、ざっくばらんのお話しをしていただけることと思います。

風景のイラスト

ホテル内の写真

外観の写真

写真は、風曜日WEBサイトより引用

三木さんのお話

皆さんこんばんは。北海道の道東に摩周湖という湖があります。霧の摩周湖として有名ですが、そこでプチホテル〝ピュアフィールド風曜日〟を経営しております三木と申します。
7年前、私はそちらの方で話を聞く側に座っておりました。7年経ってこちらで皆さんにお話しをすることになろうとは・・・、自分自身もビックリしております。
7年間いろいろな経験をさせていただきました。その経験のもとに日頃私たちが考えていること、今後の話、地域の話などをお話しさせていただきます。

まず風曜日とはどのようなホテルであるのかをおわかりいただいてないと思いますので、15分間のビデオがありますのでまず見ていただきます。そのビデオでは当館の雰囲気とか設備面などについてお解かりいただけると思います。その後、7年の間にいろいろな出来事がありました、ビックリするような事件、もう投げ出してしまおうか、と思ったことなど沢山ありますが、その中の幾つかをお話しいたします。そして最後に将来の夢についてのお話しさせて頂きます。もう私たち夫婦の力だけではもうどうしようもない、でも解決しなければいけないことがいっぱいあるのです。これは皆さんの経験豊な知恵やアドバイスなどを聞いて解決していこうと思っておりますので、今後ともご指導をよろしくお願いいたします。

 このビデオは7年前に風曜日を立ち上げた時に、北海道庁が作ってくれたビデオで、ちょうど〝やさしい町づくり条例〟ができまして、私たちの施設を紹介してくれたものです。
ではお願いします。
この後15分間ビデオが放映されました。設立時の〝やさしい町づくり条例〟の伴う県、町の融資の話し、近隣の観光資源の話し、観光客の誘致の必要性、風曜日の設備の説明、利用者のお話し、三木さんと奥様のインタビュー、インテリア・デザイナーのお話などが映し出されました。
前半に私ども風曜日の設備について説明しておりましたが、音声が少し聞きづらかったと思います。風曜日のコンセプトは北海道の大自然の中、年齢や性別、障害の有無にかかわらず、どなたにも快適な時間を過ごしていただきたい。
そんな思いで、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、ハード面については、設計段階から極力バリアを排除し、ソフト面においても、皆さんに安心して気持ちよくお泊まりいただけるようなサービスをスタッフ一同、常に心掛けています。

なのですが、例えば目の悪い方、耳の悪い方、車イスの方など、それぞれの方々にこう対応していますという説明がありました。有名な京王プラザホテルなどがあり、いろいろな形で運営されておりますが、風曜日では風曜日の考え方でいろいろなことを提案させてもらっております。
今日まで7年間、経営させていただきまして、設備に関しましては、ああしろ、こうしろということはお陰さまでございません。ただお聞きしているのは微々たることだと思うのですが、例えば部屋の時計の文字盤が小さいとか、ここに手すりがあればいいだろうなどのことは伺っております。
最近あったクレームで、ガウンが気に入らないということがあります。当館はパジャマタイプではなくガウンをお客様に提供しております。理由は誰でもすぐに着脱できるようにとの考えからです。それはそれでよいのですが、宿泊いただいたお客様から「このガウンは私が入院していた病院とまったく同じだ!」といわれたことです(笑)。そこまでは私たちもわかりませんので何ともしがたいのですが、交換時期になりましたらもうすこしカラフルなデザインにしようかと考えております(笑)。

皆さんにお配りしました資料『ピュアフィールド風曜日の風景』に沿ってお話しをして行きたいと思います。7年間運営させていただいて、今の心境を一言でいいますと、【金儲けよりも人儲け!!】ということです。これが今の風曜日には一番似合っている言葉だと思っています。こんなことをいうオーナーはあまりいないとは思うのですが、あえてこの言葉を表紙に書かせていただきました。
二番目には『サラリーマンからホテルマンへ』ということでお話しさせていただきます。今まで『ちょっとちょっと事件』や『まさぐり事件』 等々数え切れないぐらいの事件に遭遇しております。私にとってはまさに事件です。28年間サラリーマンをやっておりまして、7年前にちょっと考えることがありましてホテルマンになりました。その時は福祉の分野のことはまったく知りませんでした。本当の素人でした。たまたま妻が福祉関係の学校の教師をしているものですから、少しだけ妻を通じて情報が入ってきていたに過ぎませんでした。授産施設とは何らかの理由でお産ができない施設のことだと思っていたくらいです(笑)。この位のレベルだったのです。そんなところからスタートしました。

『ちょっとちょっと事件』についてお話しします。
それは創業間もないころのことです。札幌のお客様から予約の電話が入りました。ご夫婦で男性が車イスの方でした。奥様から電話がありまして、こういうホテルだから是非泊まりに行きたい、うちの夫の状態はこういう状態ですと親切に教えていただきました。はじめ何を言われているのか判りませんでしたがよく伺ってみると 「〝ちょっと〟だけ手伝ってもらえればすべて自分でできます」 との事でした。〝ちょっと〟位だったら、まぁいいだろうと思い「どうぞお泊まりにいらして下さい」と伝えました。そして当日、札幌から当館まで約8時間かけて到着されました。駐車場に着かれまして、お迎えに出ると長時間同じ姿勢でおられたので、車イスの男性の方の体が硬直してしまっておりました。奥様に〝ちょっと〟手伝って下さいと言われまして、足をさすったりしましたら段々柔らかくなり、やっと車イスに移乗できまして、館内に案内することが出来ました。部屋に入って設備のことなど説明した所、車イスからベッドに乗り移るのに〝ちょっと〟手伝ってくださいと申し出がありました。まぁ〝ちょっと〟くらいであったらいいかなと思いまして、お手伝いした訳です。そして部屋のお風呂をご覧になって「このお風呂では主人を入れることが出来ない。シャワーだけにするワ!」とおっしゃいました。20何年振りの旅行とお聞きしていました。おまけに8時間の長旅でおいでいただいたのです。だめもとで家族風呂を紹介した所、奥様が「あぁ、ここだったら入れます」とおっしゃったのです。ただし〝ちょっと〟手伝って欲しいとの事です。〝ちょっと〟くらいだったらいいかと思ったのですが、その〝ちょっと〟が私にとっては非常にショックな〝ちょっと〟でありました。シャワーキャリアに移乗していただくのはいいのですが、お風呂場まで行きましたら、当然着衣を脱がれる訳です。それを見た時に、私はそれまで介護はしたことがありませんので、これはどうなるのかなと不安に思いました。まぁ、匂いのことであるとか、それをどうやって対処するのかな、など私にとってはとてもヒックリすることばかりでしたが、それも何とかお手伝いして、湯船に入ってもらおうという段階になりました。するとリフトを使いたいとの申し出があり、またまた〝ちょっと〟手伝うこととなりました。奥様と二人、かなり苦労してなんやかんや言いながら30分程掛かってやっと湯船に入ってもらいました。リフトが湯船の底まで下がり、肩のややしたあたりまで浸かることが出来ました。すると奥様が涙声になりまして、「旦那さん、見てください!」と私に向かっておっしゃったのです。「左足がピクピク動いているでしょう!」 
確かに動いています。これは主人が最大の喜びを表している証拠なのです、と言われました。
20何年振りにお風呂に入って、肩まではつかれませんでしたが、とても喜んでおられます。「ありがとうございました」と言われました。あぁそうか良かったなぁと思いまして、お風呂からあがり、からだを拭いて、車イスに移してお部屋まで移動し、ベッドに移して休んで頂きました。
これ『ちょっとちょっと事件』の全容です。これを考えて見ますと、〝ちょっと〟〝ちょっと〟が積み重なって全部手伝いをやってしまったことになります。まったく私は素人ですから、もしかしたら何か失敗して怪我でもさせてしまうことも十分に考えられた訳です。その時は喜んでもらえるのなら、と勢いでやってしまいましたが、お帰りになった後に考えてみますと、責任を持ってお客様を迎える立場の人間にとって、これはちょっとやるべきではなかったかな、考えています。
そこで何を考えたかと言いますと、私どものホテルはこのようなホテルで、ここまでは出来ます。それ以外のことは出来ません、と明確にお伝えすることではないかということでした。お客様のご要望を聞いた上で出来ることと出来ないことを明確に意思表示すべきであると思い、今でも実行しております。
私も今は少し慣れましたが、慣れないホテルに行きますと、何でもできますよと軽い気持ちで受けるケースがあります。これは皆さんも経験したことがあると思いますが、そう簡単に受けられるものではないと思っております。そこで例えば介護福祉士であるとかヘルパーの資格を持つ専門の人を雇えればいいと思いますけれども、将来的なことでは雇うつもりではおりますが今の段階では、できることは出来ます、できないことは出来ないと明確に申し上げています。ただしどうしてもやって欲しいということでしたら、代替案はこうですと必ず申し上げることにしています。それがお客様の信頼を得るひとつの方法かなと思っております。

『まさぐり事件』もとてもショックな出来事でした。
当館に10名ほどの団体で来られたお客様でした。ご夫婦ですのでツインのお部屋にご案内しました。旦那さんが脳出血で車椅子を使用されています。私の女房を捕まえて、体のある部分を触れと言うのです。言葉では発せませんが、そのような意思表示をされるのです。その場面で一番可哀想なのは奥様でした。本当に恥ずかしそうな顔をされていました。そして一番カッカしていたのは私でした。〝なんだ、この野郎!〟と心で思っていました(笑)。後でよくよくお聞きしてみれば機能だけは残されていて、あとの機能は失ってしまっていることを聞き、「なるほどそんなこともあるのか?!」と納得しました。そんな経験もさせていただきました。

今、申し上げたのは一番記憶に残っていることですが、つい最近の出来事として、ホテルマンとしては実に情けない事件がありました。お客様が玄関から入ってくるなり『身も心も帰ってきました!ただいま!』と大声で挨拶されたのです。『身も心も帰ってきました!ただいま!』とはどういう意味かなと考えていたところ、しばらく経ってやっとリピーターさんであることが判りました。顔を見てもわからないンですよ。しばらく経って〝あっ〟と思い、やっと話しがつながりまして、ああいう話ですね、こういう話ですねとお客様と会話が成り立った次第です。このことも私にとっては事件でした。

『毎日がドラマを見ているような』 
本当にお客様と接していると、それぞれのお客様に物語があるのですね。当館は部屋数がたった15室で定員が34名です。ですからお客様の顔とお名前がほとんど一致します。お客様からいろいろな質問やら問い合わせがあり、旅行に出ると気持ちがパッと晴れるらしくて、私はこういう苦労をしたのだとか、うちの亭主はこうなんだ、などと、愚痴に近い私的な事などもどんどん話されます。それをフンフンと聞いています。それをジーッと聞いていると頭の中がパンクしそうになってしまう時もあります。人間ドラマとでもいうのでしょうか、そういったものが見えてきます。今の世の中、おかしな事件が起こりますよね。子供をさらって殺してしまったとか…、そういうことを聞くと、しばらく私と一緒にフロントに立ってみろ!!と言いたくなります。人生とはこんなに素晴らしく、日本人はなんと優しい民族であることかが良く判る、と言いたいのです。それ位に感動に満ちたといいますか、ドラマを見ているようなシーンが毎日展開されます。

『お客様から背中をポンポン押されているようで』
本当にお客様から〝頑張れよ〟と背中をポンと押されている気持ちに今はなっています。最初の1年、2年は〝ちょっとちょっと事件〟など様々なことかがありまして、「もう止めてしまおうかな」、「とんでもない話ダ!えらいことになってしまったナ!」と思ったものでしたが、今はもう迷うことありません。

『ここで止めたら地獄に落ちる』
正直言いまして、今はそのような気持ちです。お客様からの期待があまりにも大きいと感じているからです。お客様からいろいろな要望や期待があります。多くのお客様から支援や協力を頂いています。すでにお客様と果たさなければならない約束が幾つもあります。ここで風曜日を放り投げてしまったら、私は確実に地獄に落ちると思っています。

『月、火、水・・・、風曜日』 名前のいわれです。
1週間には月曜、火曜、水曜・・とあります。月曜は月がついています、火曜日は火がついています、水曜日は水がついています。私どもの次男がつけてくれたのですが、自然のものが7つ付いている訳です。自然のものの中で、付いていないものがひとつだけある。それは「風」だと言うのです。だから第八番目の曜日として風曜日としました。ですからお客様から「今日は何曜日ですか?」と聞かれたら、今日は「風曜日です」とお応えしております。
私と妻がホテルの名前はどういうのがいいかねと相談した時に、彼がそれを聞いておりました。お父さんとお母さんは「日常生活からちょっと離れた、しゃれたホテルにしたいね、と言っていたでしょう。そうしたら日常の曜日と違う風曜日にしたらどうか」と言ってくれたのです。非常に気に入りましたので風曜日という名前を付けました。〝ふうようび〟と呼ばれる方もいらっしゃいますが、正式には〝かぜようび〟と呼んでください(笑)。

『これが風曜日流です』
先程言いましたように部屋数が15で、定員が34名です。プラス4と書いてありますのが、エキストラベッドを持っていますので、それを入れるとマックス38名という小さなホテルです。
【〝たま障〟や〝いち健〟でもだれでも安心して滞在できる環境をこれからも創り出していきます】
という私たちの方針があります。ですから国際福祉機器展などには重大な関心を持っております。いろいろと資料を取り寄せて、われわれのできる範囲のことであったならば、実行しょうと思っております。〝たま障〟と〝いち健〟についてちょっとご説明します。
〝たま障〟といいますのは、障害者のことです。〝いち健〟は健常者のことです。私の造語です。オフィシャルのものではありません。いろいろやっているうちに、障害者の〝害〟という字が非常に気になりだしました。これはおかしいなあと思いましたところ、最近釧路市も私と同じ思いを持っている人がいるらしく、障害者の〝害〟をカタカナで表示するようになりました。釧路の人でも思いは同じだなと思いました。〝たま障〟といいますのは、障害は持ちたくて持っている人は誰もいないはずです。〝たまたま〟何かの拍子で持ったということで〝たまたま〟と〝障害〟をくっつけて短くしたものです。〝いち健〟は、健常者は常に健やかな人と書きます。今の世の中、そんな人はおりません。皆さんはそうでないかもしれませんが(笑)。一見して健常者だと思っております。ですから〝いち健〟と呼んでいま。私のまったくの造語です。

風曜日の特長ですが出来るだけお客様と一緒になって運営していこうと考えています。
食に関して、カロリー食やきざみ食、減塩食等にも対応しますし、場合によっては20名ぐらいの団体でも貸しきりにしたりします。大きなホテルがやっているような、例えばカニを一匹つけてお得ですよとPRしておりますが、当館はカニ付きお酒付き宴会付き団体旅行には全く向いておりませんし、豪華なお食事や温泉を期待されますと困りますね。室内は全室禁煙です。分煙の形をとり2箇所喫煙できる所を設置しております。喫煙、禁煙ではお客様とやりあいをしたこともあり、3件ほどお客様にお帰りいただいた経験があります。
しかし、自然がいっぱいあります。広大な草原の中、ゆったりとした時だけは流れております。そんな所が女性のひとり旅や、熟年カップル、ファミリーの皆さんに気に入ってもらっていると思っています。
宿泊の比率ですが、約4割が〝たま障〟のお客様です。6割が〝いち健〟の方で、毎年変わりません。ただ最近思いましたのは、私個人の判断なのですが、〝いち健〟の方の中に内部疾患の方がいらっしゃいます。難病の方など、名称は難しくてよくわかりませんが、それを加味しますと6:4の比率は逆転するかも知れません。

風曜日流を一言でいいますと、ホテル形式でが、運営は民宿のような運営を行っているということです。暇な時は館を閉めてしまって、お客様と一緒に遊びに出かけてしまいます。当館はリフト付のマイクロバスを持っていますので、平気で出かけてしまいます。そんなことが楽しくてしかたがないからです。お客さんも喜ばれるし…。
「一番大切なのは誰ですか?」と聞かれたことがあります。勿論お客様も大切ですけれども、それよりも従業員の気持ちが一番大切と思っています。従業員の気持ちがすさんでいたり、不満を持っていたりしますと、人間顔に出るからです。特に〝たま障〟の方はその辺の所に関しいは敏感です。ピッと感じられまして、私も年中叱られてしまいます(笑)。そこは気を使っています。

『厨房で一緒に食事をしたり…。』 
例えば一人旅の方が食事時に寂しそうに召し上がっていることがあります。その時は「一緒に食べませんか?」とお誘いします。ホテルでは本当は厨房でお客様と一緒に食事するなんてとんでもないと思いますが、その辺は無視して一緒になってワイワイガヤガヤ鍋をつっついたりしています。
『なんとフミヤが』 
当館のマイクロバスでお客様と一緒に釧路湿原に遊びに行った時のことです。その時にチェッカーズの藤井フミヤさんが釧路湿原でロケをやっていました。たまたま一緒に居た次男が大きな声で『フミヤさぁ~ン!』と呼んだンです。そしたら彼が乗って来て、10分程話しをしたのです。その時に撮ったスナップ写真です。車椅子のお客さんがあっけにとられています。
広々としたロビーの写真がありますが、(風曜日のホームページをご覧ください)車イスでも自由に動き回れるスペースを持っておりますので、遠慮せずにゆっくりお食事を取っていただくことができます。

『こだわりと経済の間で…』 
こだわりとは、これまでお話しいたしましたように、風曜日を運営する際に「これだけは」と思っている事項のことです。経済とは赤字か黒字かということです。お金の問題です。このようなホテルを運営しますと、こだわりと経済の間で毎日のように葛藤があります。経済的にはまだ青息吐息です。今が一番苦しい時期だと、実は去年も言っていました(笑)。来年も言うかもしれません(笑)。でも大丈夫です。お陰さまでリピーターは昨年の3倍に増えました。連泊のお客様が4倍に増えました。しかも〝たま障〟の方が増えるのは当たり前かなと思いますが、〝いち健〟の方のリピーターや連泊の方が増えているのです。これは有難い。
そんな中で多くのお客様との出会いがあり物語があります。実はこのことをどのように皆さんにお伝えしようか一番悩んだことです。今日まで宿泊ではなく、視察・見学だけの人たちが日本全国から、あらゆる業種の方々が3,000名以上訪れられました。創業2年目には宿泊客よりも視察・見学の方が多かったです。そんな訳でその対応に身も心もヨレヨレに疲れてしまいました。ここでも〝こだわりと経済〟の話しになってきますが、それでは視察・見学でも料金を頂こうと思い立ちました。そうしたらパタッと少なくなりました(笑)。世の中うまく行きませんね。今でも料金はいただいておりません。宿泊業、旅行業、福祉関係の方、ボンティア団体、婦人部会、お役人などの様々な業種の方が来られます。時には学校の卒業論文に取り上げたいといってくる学生さんもおります。別海にある工業高校の学生さんが、バリアフリーを見せてくださいと言って来ました。あまり関係ないのではないかなと思ったのですが、工業高校ですから工作機械を持っているのですね。要は漁船を修理するための大型器具を持っています。漁業が衰退していますので、その器具を使って何とか他の産業に転換したい気持ちがあるのだそうです。そこで当館に来て福祉機器を作れないだろうかという視点で見学に来た訳です。今宿題としてベッドに簡単に差し込めるような手すりを作ってくださいと投げかけています。学生さんが何度も訪れ寸法を測ったりしていますが、まだ出来上がっていないようです(笑)。

玄関前の庭に大きなニレの木が植えられています。その下に大・小の石が三つ置かれています。これからお話することは私の一切知らないところで話しが進んでいったものです。地元の方が「3周年の記念になるだろう、オラの山にあった木だ!!」とおっしゃって、パワーシャベルに積んで、勝手に植えてくれました。木の下の石は隣町の酪農家の方が、「おやじの遺言だから…」とおっしゃって持ってきたものです。理由をお聞きしましたら、昔「日高の石屋」が来て弟子屈の飲み屋で飲過ぎ、支払うお金が足りなくなった。そこでこの石を買ってくれと頼まれたのでおやじが買ったのだそうです。その石が野原にゴロンと置いてあるだけでもったいない。風曜日へ持ってゆけと生前言っていたのだそうです。それでバーッと持ってきてドォンと置いていったのです(大笑)。
写真の真ん中にあるベッドは電動ベッドです。これも札幌のある方からいただいたものです。時間がありませんので経緯は説明いたしませんが、北海道人の熱い心情と思っています。「たま障」には喜んで頂いております。 

『神様との出会い』 もあります。
私はこれといって信仰を持っている訳ではありません。しかし神様とも出会いました。京都の西北部に愛宕(あたご)神社という神社があります。京の町を火災から守る防災の神様として有名です。その愛宕神社がー去年、ご鎮座千三百年の節目を迎えたのだそうです。その記念事業として、当館横の森の中に愛宕神社の分社という形で神社が建立されました。名称は「愛宕社」といいます。黒塗りのスカイラインで現れるリピーターさんが居ました。バンパーに日本国旗のシールが貼ってありまして、当初「ヤクザ屋さんかな・・」と思ったほどです。その方が愛宕神社の宮司さんだったのです。来るたびに当館やお客様の様子などを観察していたのだそうです。本当にビックリしたのですが、第一の鳥居、第二の鳥居がありまして、最初に厳島神社にあるような朱色の第一の鳥居が送られてきました。愛宕山から切り出した杉の木で作られています。最初は小さな祠だろうと思っていたのですが、とんでもない話で、京都から宮大工が3人、石屋さんが2人来られ、2ヶ月程かけて建てていただいた神社です。その宮司さんは 「ここを訪れる人々の心の灯台となればよい」 とおっしゃいました。あとは全て任すからとおっしゃって下さいまして、私も神主の勉強をしなければいけないのかなと思っております(笑)。地元の建築会社社長さん達がバリアフリーの参道を造ってくれました。車椅子でもお参りできる神社となっております。毎年6月23日前後に祭を行いますのでどうぞお参り下さい。
アイヌの人々が踊っている写真がありますが、この土地は元々アイヌ民族の土地。アイヌの人たちの魂を入れようではないかということになりまして、参加してもらった訳です。

人と人のつながりがいつしか"優しい町づくり活動"になっております。『人儲けよりも金儲け』とありますが、ダスキンという会社が出した小冊子があり、風曜日を載せてもらっております。北海道新聞に掲載された記事もお手元にあると思います。後でお読みいただきたいと思います。
弟子屈町にボランティアサークルやNPO団体があります。その人たちの協力を得て、様々な活動が展開できるようになりました。例えば、車椅子のお客様が当館へおいでになり、露天風呂に入りたいと希望された場合、NPOに連絡すれば実現することができるようになりました。屈斜湖畔にある本当の露天です。地元では野天風呂と呼んでいます。これは非常に喜んでいただいています。又、乗馬体験ができます。私と同じで移住してきた若い夫婦ですが、オスーストラリアで勉強してきて、乗馬セラピーを行いたいと大きな夢を持っています。当方に出かけてきてもらう出張乗馬が可能となりました。朝6時頃から朝食前に乗ってもらっています。馬場は地主である酪農家のおやじさんに造ってもらいました。
その他にもボランティアの人たちが観光地で必要な車イス・トイレマップを作りたいということで、すでに完成しました。公共編と民間編が完成し、今レストラン編を作っています。

『町の五カ年計画に反映されています』 
写真の真ん中に移っている車イスの方は当館のお客様です。何度も来て頂き親しくなった方で、町づくりにも興味を持たれている方です。ある時「町のバリアフリー度チェックをしてもらえないだろうか」お願いしましたら快く受けてくれました。この写真に集まっているメンバーは社会福祉協議会、町の建築課、観光課の方、ボランティアの方々です。皆で町全体を調べました。その資料が町の五ヵ年計画に反映されています。このようなことも人と人のつながりで出来ました。

『風曜日ならではの企画』 
先ほど温泉や乗馬のお話しをしました。その他にパークゴルフもできます。浜辺用の車イスである〝ランディーズ〟がありますのでそれを利用します。また当館のロビーで近隣のおじちゃん、おばちゃんを集めて、妻の得意とするミニ・ディ・サービスを行ったりもします。
東京のあるデザイン学校がユニバーサルデザイン科を作りました。その学生に宿泊体験してもらい、観光地のユニバーサルデザインとはどういうことかを学んでもらったりもしました。
その他、釧路川カヌー下り、ラフティングボートの体験、アイヌ文化の語り部など、少々体が不自由でも参加できる弟子屈ならではのアウトドア体験メニューが生まれるようになりました。これからもいろいろ楽しい遊び方が生まれてくると思います。

最後に 『夢に日付を・・』 についてお話させていただきます。
夢は二つあります。両方ともお客様と接する中から生まれたものです。ひとつは、誰でも安心して入れる温泉露天風呂を造ること。たま障の方から『温泉に入りたい』という要望が多数よせられ、たま障の方が温泉地に行っても温泉に入れないことが多い、と知ったからです。夢を実現するためには、地面を掘るしか方法はありません。もう銀行からお金を借りるのはいやでございますので・・(笑)。掘削資金確保の為、お土産として鳥のブローチをひとつひとつ作って販売し、資金を貯めております。ひとつ500円から1500円です。4年間で200万円貯まりました。目標は5000万円ですが、達成するには私が102歳頃です(大笑い)。どうやって夢に日付をつけるか、悩んでいます。(笑)。
もうひとつは第二風曜日建設です。北海道は非常に広大な土地、弟子屈町から小樽まで約600kmあります。道東は当館に滞在していただければ観光できますが、他に富良野に行きたいとか小樽の寿司が食べたいとか「せっかく北海道に来たのだから・・」との要望があるのは当然と思います。しかし道内には安心して泊まれる施設が少なく、全道を観光できるようなホテルを造って欲しいとの要望が多数あります。名前だけは決まっております。『晴曜日』(はれようび)といいます。『風曜日』に泊まって『晴曜日』に泊まる。考えただけでも楽しくなります。当初は自分達の夢は自分達の力で解決することが当たり前だと思っていたのですが、多くに人のお力を借りる事も決して恥ずべきことではないなと今年1月の自分の誕生日に思いました。〝私たちだけでは力不足です。一緒にやりませんか〟と心ある方々に問いかけたいと思っております。 (大きな拍手)

ピュアフィールド風曜日

ピュアフィールド風曜日
〒088-3222 北海道川上郡弟子屈町原野419-64
電話 01548-2-7111  FAX 01548-2-7777
E-Mail:kaze99@aurens.or.jp
ホームページ:http://www.aurens.or.jp/hp/kaze/

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