「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

2004年5月 定例会の報告
目の不自由な方とPC(パソコン)からの情報

5月定例会は5月12日、視覚障害者のためのパソコンをはじめとしたIT利用環境総合コンサルティング企業、株式会社ラビットの代表取締役、荒川明宏様に講演いただきました。荒川明宏様ご自身、視覚障害をお持ちです。東京から沖縄に行くことを想定して航空会社、旅行会社のホームページを検証してもらいました。

今回の定例会の会場は、前面の壁にパソコンを映しだすプロジェクター・スクリーンが設置されています。その下に荒川明宏さんがパソコンを操作しながら参加者に向かって座られています。荒川さんのパソコンには外付けのスピーカーが接続されており、会場の参加者にも音声ガイダンスが聞こえるようにしてあります。荒川さんの隣にはプログラム担当委員の松本高行さんが別のパソコンに向かい座られています。会場はいつもの真ん中が空いている箱型ではなく、教室型に机が並んで講師とスクリーンを向いて着席しています。3列×5列、ひとつの机に2名着席できるようになっており、今回はほぼ満席となりました。
荒川さんは、「始めて視覚障害者がどうやってパソコンを使うのかと疑問に思われる方もいらっしゃると思いますので、最初にそのことについて簡単に説明します。」と軽快な口調でお話を始められました。

視覚障害者のPC使用方法

「目が見えないとマウスがまったく使えませんので、キーボードでウィンドウズの画面を全て操作します。例えばスタートメニューを出そうと思ったら、ウィンドウズキーを押しますと」と荒川さんは話をしながら操作しました。すると 『スタートメニューと選択』 と音声が聞こえてきました。正面のスクリーンには荒川さんが操作されている画面が映し出されており、荒川さんの操作でカーソルが移動しその都度 『インターネット』、 『電子メール』 、『マイクロソフト・ワード』、 『エクセル』 などと音声が聞こえてきます。
「例えばここでワードを起動しようと思ったら、ここでエンター・キーを押します」。するとパソコンからは 『メニュー・クローズ、 マイクロソフト・ワード、』 とワード画面が表示され 『文章、改行、トップ、』 などと音声が伝えてくれます。

「それではここで私の名前を入力してみます。目が見えなくても普通にキーボードを押すと文字を喋ってくれます。例えば、〝a〟と押すと」 といいながらキーボードを操作。すると 『あ』 と音声ガイダンスがしゃべりました。 「〝r〟と〝a〟を押すと、」 と操作すると  『 あーる、 ら 』 続けて〝k〟〝a〟〝w〟〝a〟と操作。 『〝けぃ〟〝か〟、〝だぶりゅー〟〝わ〟』 としゃべります。 「機械がアラカワと言ってくれましたね。ここでスペースキー(変換キー)を押すと」  『〝は〟〝あれる〟、〝かせん〟〝かわ〟、〝あらかわ〟』 と読み上げます。「荒れる、川は河川の川と読み上げてくれる訳です。」 (参加者一同、オォォ!と驚き声をあがる)  続けて荒川さんは住所を入力。 『〝東海道〟〝東京都〟、、、〝高田馬場〟、、、』 「こんなふうに普通に入力して行きますと読み上げてくれます。」 と言いながら入力 『東京都新宿区高田馬場』 と音声がしゃべります。
「こんな風にですね入力していきます。普通の人とのメールのやりとりも、こんな感じで入力して行きます。今回も勉強会の担当の皆さんともやりとりをしたのですが、来たメールは音声で喋ってくれるので、とっても便利なのです。」

ここでワードを終了すると、『わーど、終了』 と音声ガイダンス、そしてメニュー画面に戻ります。
メニュー画面上をカーソルで上下、左右に移動すると 『ワード』 『マイクロソフト・エクセル』 『おわり』 『メニュークローズ』 『マイクロソフト・エクセル』、『ブック1』 『A1』 『B1』 『ブランク』 などと読み上げます。  
「エクセルの場合はこんな風に読んでくれます。」 『B1、45』 『C1、1』 『A1、1、 プラス、 B1、45、 イコール C1、80』 とパソコンが読み上げてゆきます。(参加者は おぉ、と歓声に近いどよめき)
「一応私も経営者ですので」(笑) 「いろいろ分析したりですね、書類も見なくてはいけない訳ですね」(笑) 「だいたいの事はやりますが、経営状況がどうなっているかをエクセルで確認したり、シュミレーションしたりすることは、どうしても必要な事ですので、こうした時に使えるという事は非常に便利だなと思いますし、画期的な事だなと思います。」 聞いている参加者は驚きで声も出ずにスクリーンと荒川さんのお話しに集中しています。

音声ブラウザ(インターネット閲覧)

「これと同じように操作してインターネットを見て情報を取得したり辞書を利用します。皆さんにとっては国語辞書、英和辞書は簡単に引けると思います。普通のサイズの英和辞典があるとしますね。これを点字にすると、15cm程の厚さで、A4サイズ、100冊分になります。」(ここで〝おォォ ! 〟と再び驚きの声が) 
「100冊と言いますと、普通の本棚3個分程のスペースが必要になります。正確な重さは分かりませんが、相当の重さになると思います。A4の紙1枚が、約点字紙3枚分位になりますので膨大な量となります。そこで辞書を引こうとすると、場所も取るのですが、肉体的な体力も使わなければなりません。例えば〝Book〟を辞書で引こうとします。するとまず100巻の中から、〝bo〟とつくのは何巻目にあるかを探すわけです。肉体的な問題と言いましたが、私はそれで英語が苦手なんですけれども(笑)、まぁ、これは関係有りませんが、今でしたら簡単にスッとパソコンを使うと、簡単に引けてしまうことはとても便利だなぁと思います。」

 ここで再び荒川さんがパソコン操作をし始めます。音声が、『スター、』 『マイクロ、』 『イン、』 『PC、』 『J、』 『IBM、』 とコロコロと読み上げます。私達はほとんど聞き取れませんが、荒川さんは次々と聞きながら進んでゆきます。スクリーン上のカーソルも音声に合わせて動いているのですが、私達はついて行けません。 『ハイパーダイヤ』 ここで荒川さんが 「あった!」 戻って起動します。 『出発地の文字入力』 と読み上げます。隣に座って同じように画面を見ていた松本高行さんが 「済みません、今この『ハイパーダイヤ』を探していたのですが、私は見える範囲を追いかけていたんですけど、荒川さんは音で先を追いかけていらっしゃいましたから、目で見ていた私が荒川さんに負けてしまいました。」(皆さん笑いと感動でしきりにうなずいている)

「私の住んでいる西武線の花小金井という所です。」 パソコンに花小金井を入力します。先程のように 『は』、『はな』、 『こ』、 『こがねい』、 『はなこがねい』〝花小金井〟と表示され確定。次に目的地の文字入力画面に入力し始めます。 『し』、 『した』、 『しん』、 『しんばし』、〝新橋〟と表示されます。「このように操作します。」 次にカーソルを移動すると 『選択開始の選択、』 『出発時刻』 『到着時刻』 、ここで荒川さんは到着時刻を選びます。『到着時刻の設定』 と読み上げ、続いて 『文字入力』 と読み上げます。
「今回の勉強会の開始は7時ですが、6時に伺うとの約束でしたので、15分位前には新橋駅に着いておこうかなと思いましたので」 と言いながら〝17時45分〟と入力。 『選択開始の選択』を押すと 『選択開始!』 と読み上げます。 『西武 花小金井 16時49分発、 西武新宿線急行 16時49分発、  
高田馬場 17時10分 着、 所要時間21分。 高田馬場 17時19分発、東京地下鉄 東西線 快速 高田馬場
17時19分発、日本橋 17時34分着、所要時間15分、日本橋 地下鉄銀座線 17時39分発 新橋 17時44分着 所要時間5分、東京地下鉄新橋17時44分着』 と音声が次々に読み上げてゆきます。

「最近はインターネットでもこれと同じ様に路線検索が可能ですが、インターネットの画面は検索しにくいので、私は専用の検索ソフトを買って使っています。こんな風に使って調べる事ができます。」

ソフト側の対応状況

「しかし、全てのソフトがこのように音が出る訳ではありません。あくまでも音が出るのは、ソフトの本の一部です。」 ここで荒川さんが操作し始めます。
「ここでアウトルック・エクスプレスの画面で説明します。ここでメールアドレスを入れてみます。」
宛名、cc、bcc、件名の順にタブでカーソルを移動してゆきますが、『メッセージの作成』 『メッセージの作成』 『メッセージの作成』 としか音声ガイダンスは言いません。
「お聞きのようにどの場所も『メッセージの作成』としか読み上げてくれません。ですから、どこに何をいれていいのか私たちにはまったく分かりません。」 (皆、驚き、うなずきながら荒川さんを見つめています)
「とても単純なことですけれども、見えないということは、これだけでも困るわけですね。多分ここが本文の枠だと思うのですけれども」 しかしカーソルを止めた所は違っておりその指摘がありました。 「えっ!、違っていましたが、件名の枠でしたか」(笑) 「やっぱり分からなくなってしまいますね。このように、肝心な所を読んでくれないと事がほとんどといえます。ですから、ほとんどの市販ソフトが、残念ながら見える人でないと使えない事になります。」 (参加者一同、大きなため息を洩らす) 
「パソコン・ボランティアさんをやっている方は〝押せばしゃべるでしょう〟と言います。勿論しゃべるんですが」 宛名のところでも音声は『メッセージの作成』と読み上げます。一同うなずき、どうしようもないという顔つきが広がります。「ですから、ボランティアの方になかなか状況を理解してもらえない事があります。」

「これらの音が出るソフトは、いろいろな工夫がされています。」 
「例えば、アウトルック画面からワードの画面に切り替えようとする時は、alt (アルタネート・キー) と Esc (エスケープ・キー) を押しますと切り替える事ができます。いちいちメニュー画面に戻して切り替える事もなく、画面を切り替えることができ、マウスを使わずに素早く切り替える事ができます。パソコン操作の早い人は、マウスをあまり使わずにキーボードだけで操作するとよく言われ、キーボードから手を離してマウスを使う事が少ないといわれていますね。」 (一同思わず感心して大きくうなずいてしまいます)。
「こんな機能もあります、ここで例えば、あるキーを押すと」 『起動中のアプリケーション数 5』 と読み上げられる。 「このように今、起動中のアプリケーション数を〝5〟と言って立ち上がっているアプリケーション数を読み上げてくれます。このように単純にしゃべっているだけではなくて、補助もしてくれるわけです。」

OCR(文字認識ソフト)、文字拡大機能

「あと、私がよく使うのが、目の見えない人でよく使うソフトに、OCR と呼ばれているソフトがあります。スキャナーの上に原稿を乗せて、それを認識し、スキャナーで取り込んで、文字認識して、テキストに変換してくれるものです。普通の人も最近はよく使われていると聞いています。この OCR を使って本を読んだり、郵便物を読んだりします。」
「わたしの友人に、かなり旅行が好きな人がおりまして、全盲の人なのですが、いろいろな旅行パンフレットやチラシを集めてきて、これらのチラシをスキャナーは読むんだろうかと試している人がいます。残念ながらチラシとかカタログ類は読むことがでません。そういうことをせずに私はインターネットで検索する方法が面白いと思っています。このインターネットのお話は後半に詳しくお話します。」 

「少し目が見えている方のために、画面を拡大したりすることも出来ます。」 ここで荒川さんは小さな箱状の器具を提示して 「この道具は点字が出るのです。皆さんには点字がでているのが見えませんですか。」 荒川さんが手元のキーボードを 『カシャ』 『カシャッ』 と押すと、手前の列に点字が表示されます。6つの開いている穴からポッチが文字にあわせて出てきて点字を構成して読むことができる様になっています。(一同感心して見つめていました)
「下に点字がでるのですが、これをパソコンに繋いで情報を点字で読むこともできます。会議などで私もメモをとったり、電話のメモを取ったりする時に利用しています。私は仕事柄、新しい機械がでると何でも試してみる事にしています。いろいろと試しに使ってみて感じる事は、視覚障害者にとって使いにくい部分もあるのですが、でも何年か前に比べたらはるかに使い易くなりましたし、便利になりました。電子化されるということは、目の見えない人にとっては便利だなぁと思いますし、私もかなりその恩恵をいただいている一人です。」

質疑応答(PARTⅠ)

ここでプログラム委員の松本高行から前半の説明についての質問を受けました。

福島県磐梯ヴィラ猪苗代、大竹さん 「荒川さんが視覚障害者のために、いいソフトを開発されている事もお仕事のひとつなのでしょうか。」
荒川さん 「私は直接的には開発は行っておりません。既存のソフトをどう工夫すると便利に使えますよということを紹介したり指導したりをメインの仕事にしています。例えば今の音声化ソフトにも様々なソフトがあります。ある会社によってはアウトルック・エクスプレスを使わないと仕事上支障がある場合があります。そうすると私がいまデモンストレーションしたソフトではいけない訳で、別のソフトを入れないといけなくなります。そのような事は一般の人にはまったく分からないことですので、それらの事を踏まえてコンサルティングしたり、実際に教育したりしています。」

当会代表、草薙さん  「二つ質問があります。一つ目は音声についてです。人工音声と人の声とはどちらが聞きやすいですか。もう1つは、アメリカのリハビリテーション法第508条によって、アメリカもいろいろと変わってきていますが、日本のソフトの関連性についてどのようなお考えをお持ちかですか。」
荒川さん 「声は、それぞれの人の好みもありますので一概に言えないのですが、私がいつも使っている声は人工音声の声ですが、、、」ここで荒川さんは現在使っている人工音声を発音させ、その後ちがう音声を発音させました。聞いている参加者にもその違いが鮮明に分かりました。
「今使っている音声は、キーを押してからゆっくりと喋るタイプの音声です。あるソフトはキーをおすと即座に発音するものなどがありますが、好みによって違ってきます。肉声が聞きやすいと言う人もいますが、私はどちらかというと人工音声を好みます。機械を使っているのですから機械の音がいいですね。(笑)感情をつけられて読まれると(笑)、気持ち悪いかな(大笑い)、なんて私は思いますが、中にはそれがいいと言う人もいます。それぞれの好みですね。」

「次にリハビリテーション法508条の件ですが、日本では言われていますが、まだまだ盛んではありません。しかし、アメリカと日本では物の考え方に大きな違いがあるのです。」 ここで荒川さんはちょっとお待ちくださいと言ってパソコンの操作を始めました。JAWS(ジョーズ)というアメリカの音声ソフトを探し出し再起動しています。
「今までは〝PCトーカー〟というソフトを使っていましたが、これはJAWS(ジョーズ)というソフトです。別の人工音声となりますが、初めて聞く人は最初の声が良かったねといいますし、最初にこちらを聞いた人はこちらを好む事があります。」
荒川さんはワードを起動して説明し始めました。
「アメリカと日本は発想がまったく違います。例えばこのジョーズではメニューバーを読んでくれます。この中にツールバーとかいろいろとあるのですが、日本のソフトは操作することができません。このアメリカのジョーズは読んでくれます。日本のソフトの場合は画像などをクリックしたりすることが残念ながらできません。アメリカのソフトではマウスだけの操作などについても、キーボードでありとあらゆることを読ませることが可能なように作られています。読ませることが出来るという事は余計なものも読むことなので、人間が不要な部分は聞かないようにして使わないと難しくなってしまうといえます。」
「日本人的発想は、だれでも優しく、だれでも簡単にという思想なのです。高度なことをしたい人には何もできないというのが日本のソフトの作り方です。ですから先程の508条で、こんな事を仕事をやりたいと思っても、残念ながらそれが出来ません。アメリカのソフトだったら結構出来ます。アメリカでは視覚障害者専用のメールソフトや、その他の視覚障害者専用ソフトは特にありません。ジョーズとホームページを読むソフトくらいしか有りません。それだけで全てのことをアメリカ人は健常者と同じことを行ってしまうのです。しかし、日本には視覚障害者専用のなんとかソフト、ホームページ・リーダー、OCR、メールソフト等々、視覚障害者専用に作られたソフトが大好きなで、これは物の考え方によって違ってきていると思います。韓国の場合はアメリカのソフトを直輸入していますので、日本の視覚障害者よりもコンピューターを有効活用しているといえます。日本はお金があるが故に日本独自の専用ソフトを開発してしまいますので、それが妨げになっているといえます。可能性をつぶしてしまっているという傾向にあるといえます。」

アジアネットワーク、沓名さん 「仕事柄で視覚障害者の人とメールのやりとりをしております。素朴な質問なのですが、メールを受け取る場合に漢字の誤字が結構あります。それに対する対策はあるのでしょうか。」
荒川さん 「その人の漢字能力だと言えます。(笑)」
「私も結構間違うのですが、音で聞いて、いちいち詳細を聞かずに選んでしまうと、その間違いがよく起こります。正式文章は社員に必ず漢字のチェックをしてもらってから送信するのですが、今回の勉強会の松本高行さんとのやりとりなど、時間がない時には、今回はいいかなとチェックさせずに送ってしまいます。(笑) きっと何箇所か間違いがあったと思います。親しい人でしたら指摘してくれますが、そうでない時は指摘してもらうことは難しいですね。」

プログラム委員、松本高行さん  「いまのソフト、ジョーズで荒川さんのお名前を入力するとき、新しい川と荒い川の違いはどうなりますか。」
荒川さん 「ちょっと実際にやってみましょう。」 とおっしゃって操作を始めました。
「こちらは〝荒れる〟と〝三本川の川〟と言っていますね。新川の場合は、〝新しいの新(しん)〟といっていますね。例えば、島(とう)の場合は、〝島国の島(とう)〟ですね。等(とう)の場合には、〝等しい、等(など)の等(とう)〟と言っていますね。」 (皆うなずいて納得)
「難しい漢字になりますと、説明が何を言っているかわからないことがあります。(大笑い)」。

沓名さん  「漢字のない文字、例えば当用漢字にない場合はどうするのでしょうか。」 
荒川さん  「それはもうお手上げですね。漢字には2バイト・コードがあり、読みと画面にどう表現するかを現しています。フォントと音声辞書が登録してある訳です。音声が欠けているだけでも機械は読み上げませんから、読まないのだけれども JIS コードにはあって画面には出るいう場合にはコード入力で入力します。」

 松本高行さん  「北海道とか、以前住んでいた沖縄に西表島と書いて〝いりおもてじま〟と読む場所がありますが、そんな場合は音声ソフトではどうなるのでしょうか。」
荒川さん 「どうなるでしょうかね。実際にやって見ましょう。」 と操作を始め、〝いりおもて〟と入力して変換すると西表と表示されました。「メジャーなものは登録してあるのでしょうね。」(皆、納得) 「地名も困りますが、人の名前も困りますね。」 皆これもうなずいて納得しました。

当会、会計担当、小野さん  「親しい友人で目の不自由な友人がおります。2年くらいでパソコンをマスターしてしまったのですが、時々故障したと言って聞いてくることがあります。私も故障などについてはお手上げなのですが、音声ソフトだから故障しやすいということはあるのでしょうか。」
荒川さん  「難しい答ですね。音声ソフトがトラブルの原因になることもあると思います。市販のパソコンに音声ソフトをインストールして、すぐに動くケースもありますが、動かないケースも実際にあります。様々なケースがあります。例えば常設しているソフトが音の邪魔をしたりとか、漢字を確認キーがあるのですが、そのキーが他の操作キーに割り当てられたりしていると、その機能が働かないことなどがあります。」
「一番気にしなければならないのは、サウンド・ボードです。使っていてよくトラブルがあるのは、一般の人の場合とほとんど一緒です。例えば自分で意識しないで間違って音を出さないボタンを押してしまう事があります。自分では意識していませんから、触ったことに気がついていません。単純に音を消したという操作だけなのですが、本人はどうなっているかわかりません。それだけで自分のパソコンが壊れてしまったと思い込んでしまい、パニックになってしまいます。本当はそのボタンを押し直すだけで元に戻るのですが、それが分からないのですね。」
「お客さんに〝トラブルなので見にきてください〟と連絡があることがあります。当社では有料出張サービスを行っているのですが、単純にフロッピーが入っていただけだったこともあります。問合せ時に〝フロッピー入れていませんか?〟とお客様に確認しても、〝絶対フロッピーは入れていない!〟と応えます。〝出張サービスはお金か掛かりますよ。〟と言っても、〝フロッピーは絶対に入ってないから来てくれ〟といわれます。行って見るとフロッピーが入っているのですね。(笑)実際にフロッピー挿入口を手探りしても、入っている状態を最初から触っても入っているとは理解できないのですね。(笑)目の見えないということは本当に困るなとつくづく思います。(笑)」

WEBサイト検証

ここで10分間の休憩にはいり、パソコンをインターネット接続可能な機種に変えて後半は実際にインターネット検索の問題点を数社のホームページから検証することになります。

後半のお話しは、全日空、日本航空、HIS、JTB、KNTのホームページを使って沖縄へ行く方法を試みます。それぞれのホームページの使い勝手についてどうかをお話いただきます。
インターネットを繋いでいるパソコンには音声ガイダンスのソフトがインストールされていませんので、操作は松本高行さんが行い、荒川明宏さんの記憶と松本高行さんの説明からお話ししてもらいます。ここで荒川明宏さんが持参されたレジュメをご紹介しておきます。
読者の皆さんはホームページアドレスを記載しておきますので、そのホームページ画面を見ながらお読みください。

ラビット荒川さんの資料
「各航空会社・旅行会社のHPから沖縄に行けるか」検証

ANA SKY Web http://www.ana.co.jp/
出発地、到着地、日付、時間当音声で問題なく設定可能。
該当便名の確認画面に映る。ここでは残席数の確認は音声ではわからない。
テーブルモードに変更し、目的の予約のボタンを押すことが可能。
問題点:予約確認ボタンが画像のみのため、最初はとまどう。
JAL-航空券 予約・空席照会・運賃案内 http://www.jal.co.jp/
予約のリンクを選び次に進む。
区間指定のページが表示される。このページはフレーム処理がされているため、ホームページリーダーのフレーム切り替え操作を行う必要がある。その他の設定は問題なし。
便名確認
予約のリンクが「◎」などで書かれている。これをホームページリーダーの通常の読みで読み上げない。カーソルモードに変更し確認をする。
問題点:リンクが記号になっているので音声で読み上げられない。
H.I.S. 海外旅行 国内旅行(格安航空券 格安ツアー他) http://www.his-j.com/
トップページにはいろいろなリンクがあるため、音声で目的のリンクを探すのに時間が
かかる。ここでは「国内ツワー」でエンターキーを押す。
ページの内容を読み、「沖縄」を探す。いろいろなリンクがあり、慣れても探すのが難しい。「沖縄本島」のリンクを選ぶ。
ツワーの詳細は問題なく確認できる。しかし、いろいろなリンクの後にあるためホームページリーダーの「ブロックジャンプ」機能を利用して目的の箇所を早く探す必要がある。
JTB - For Your Travel & Life 世界をつなぐ旅と心 http://www.jtb.co.jp/
最初のページで「国内ツワー検索」のリンクを探す。
条件を設定する。方面の指定で「沖縄」を選択する。宿泊のみのプランにチェックを入れる。検索を実行する。
さらに詳細な条件設定、検索結果が表示される。内容は音声で問題なく確認可能。ページの全体像を把握するのにやや難しいが、リンクなどは問題なく読み上げるため、十分に使用可能である。
近畿日本ツーリスト http://www.knt.co.jp/
[旅とるオンライン 国内パックツアー。]のリンクを探し、エンターキーを押す。
ホームページリーダーが別ウインドウで起動する
条件を設定する。
日付、出発地、到着地、日数を指定する。最後の条件「指定するまたは指定しない」という件があるが、何を設定するのか音声ではわからない。
検索結果画面は音声で問題なく確認可能。並べ替えについても音声で確認可能である。
詳細ページは2フレームで作られている。
フレーム間の切り替えをしながら、音声で内容を確認する。
「旅の窓口」総合旅行予約システム http://www.mytrip.net
宿泊予約 海外ホテル予約 レンタカー 航空券 観光 レジャー

ANA Skyweb

「全日空さんのホームページは、今回検証する5社の中で、比較的困らなかったホームページでした。慣れればどのホームページもそれ程の差はなくなると思います。視覚障害者にとってホームページは全て音で聞いているわけです。その時の何が一番難しいかといいますと、いろいろありますが、そのひとつは、どんなに音を聞いていても、ホームページの全体の構造がなかなか解らないという事です。その点全日空さんのホームページは解り易いと言えます。」
ここで実際にスクリーンに全日空のホームページが表示され説明が始まりました。
「出発地、到着地が選択しやすいように作られています。そこに日付、時間が入れられます。出発地は東京、到着地は沖縄と選択します。続いて日付に5月13日と入力します。出発時間は指定なしで進んでみます。」
そばで松本高行さんが音声ガイダンスの代わりとなるべく、荒川さんに画面を説明しています。
画面は縦横の表イメージになっています。便名、出発時間、到着時間、機種、航空運賃が横軸で表示されています。
「表のようなイメージになっています。ここで視覚障害者がぶつかる問題が出てきます。私たちは何時発に便があるかということを調べたい訳ですが、音声ソフトは表を横に順番に読んで行きます。」
ANA = 991 = 06:55 = 09:25 = 763 = ○ = \34,800 、次に下の段に進み、
ANA = 121 = 08:05 = 10:35 = 、 と続きます。(松本高行さんが読み上げている)。

ANA予約ページ見本

「私たちは何時発の便があるかを知りたいので、右カーソル・キーを押し続けて音声を聞いているうちに、〝俺はいったい何をやっているんだろう〟(笑)と思ってしまいます。次発の時間の飛行機はいったいどれなのかが解らなくなってしまいます。目で読んでいれば、1便目が6:55発、2便目は8:05発とすぐに解りますが、横軸を読んで行く内に、〝さっき聞いた2便目の出発時間はなんだっけかなかぁ〟と素朴な問題にぶつかることになります。」

「インターネットを読むためにはいくつかのソフトが必要なのです。ホームページ・リーダー、PC-Talker、95Reader、JAWS(ホーム)、JAWS(プロ)など5種類あります。今回の検証に際してはホームページ・リーダーを使っています。このホームページリーダーには縦軸を追ってゆく機能があります。そうすると先程の出発時間の蘭だけを指定して下向きカーソルキーを押すことで、出発時間だけを読んでくれます。ところがPC-Talkerや95Readerを使うと、読んでくれません。単に読むだけではなく、このような表を読む場合に縦軸読みが出来る機能をもっているソフトを選ぶことも大切なことといえます。」
音声化ソフトの種類
(荒川明宏さんのレジュメから転載)

商品名 価格 メーカー
PC-Talker 39,900 高知システム開発
95Reader 36,540 SSST
JAWS(XPホーム) 100,500 日本IBM
JAWS(XPプロ) 157,000 日本IBM
ホームページリーダー 15,750 日本IBM

「次に、この画面から詳細の予約画面に入います。」
「さて、この時に画面には○、△などのマークがあります。これは○:空席30席以上、△:空席
10~20席、数字:空席1~9などを示しているのですが、画像で表現されていて、音声で読み上げると〝ホワイト、 軸、 〟と訳の解らない読み上げとなります。そうすると、〝なんじゃこれ!?〟と考え込んでしまいます。自宅で作業していた時に、どうしても理解できずギブアップして、子供を呼んで何が書いてあるか教えてもらうと、〝○印が書いてあるだけだよ!〟と簡単に言われました(笑)。これが私には解らずにとても困りました。しかしこれは結構当たり前のことなので、出鱈目でもいいからエンターキーを押せば次の画面に入れるんだなと割り切るようにしています。それと、残数表示の1~9は音声が出ませんでしたので、これも画像表示だと思います。
物は考えようで、とにかく中に入って予約が取れればいいと割り切れば問題はない訳です。ここが全日空さんのページで唯一困ったところといえます。」

JAL(日本航空)

「次に日本航空さんのホームページに見てみます。」

日本航空の予約画面

日本航空のページの状況を松本高行さん荒川明宏さんに説明し、荒川明宏さんはご自身の作っ 
てきた点字レジュメを読みながら話しを進めてゆきます。全日空のホームページはトップページからすぐに予約画面へ入ることができるが、日本航空の場合はトップページからもうひとつの画面を経て予約画面に進む構造になっています。真ん中に空席照会・予約・購入画面があり、左にサイト利用ガイド、右に国内情報の画面があります。
「この画面は《フレーム》という機能を使って作られています。ホームページを読むソフトは《フレーム》機能を理解しませんので、左の項目だけを上から下へ読んでしまいます。ですのでフレーム切り替えをしないと、次の空席照会画面へ進んで行きません。全日空は《フレーム》ではありませんでしたので空席照会の所へ進めたわけです。どちらが良い悪いではなく、機能を理解していないと先へ進めないということです。日本航空の場合は最初の画面から一段もぐり、そこでフレーム切り替えをして照会画面へ入れるわけで、操作がひとつ多く必要となります。切り替えキーは ctrl と tab で切り替えます。ホームページの機能を知らないと、一生(笑)そこからは移動することができないことになります。」
「それをやってしまえば後は全日空と同様の照会画面となるわけです。」
月、日は下タブで選びます。カレンダーから選ぶ事もできるようになっていますが、荒川さんは使いにくいことから使わずに月日を入力して使われているそうです。次に出発地、到着地を入力します。そして次へのボタンを押して次画面へ進みます。

日本航空の予約画面2

ホームページ・リーダーは右に読んでゆきますので、東京羽田、沖縄那覇と呼んで行き、時刻はこの時は改行される時まで読まれません。ここの○も読まれません。この○はJISコードの○を使われています。ホームページ・リーダーの通常モードでは、これらの丸印は読まない設定になってしまっているのです。 すると、JAL1901、734 の後はタブで飛ばしても、『読まない』、『読まない』、『読まない』と続き、改行して時刻が読まれることになり料金が読み出されることになります。
「私はこの頁を検索している時に、〝いったいどうなっているのかな〟とまったく理解できませんでした。そこで《カーソル・ナビゲーション》というモードに切り替えて操作をしてみると、〝まるじるし〟と読み上げてくれました。それでやっと理解できた次第です。」

松本高行さんが、他に困難な所はありませんでしたかとの問いに、荒川さんは予約画面に入ってしまえば後は問題ないと話されました。

JTB

次はJTB(ジェイ・ティー・ビー)ホームページの検証です。
「JTB社のホームページを見た時に、最初にまず持った疑問は、どのリンクから入ったらいいのかなということでした。探すのに結構戸惑いました。国内ツアーの所から入ればいいんだろうと思いました。」
JTBの検索画面松本高行さんが、「アクセス・ランキングの中の国内ツアー」か、「国内旅行の国内ツアー検索」のどちからか入られたかを確認すると、国内旅行の国内ツアー検索からはいられたことが解りました。すると条件指定画面があらわれました。方面、出発地、出発日、キーワードなどの条件指定欄が出てきました。
「ここまでたどりつきますと、比較的やりやすかったですね。」
方面は下タブがついており、北海道から沖縄などが表示され、そこから沖縄を選べます。
松本高行は正にJTB社のWeb開発セクションに勤務されています。「内輪の話なのですが、」と話されました。 JTBが決めているエリアのコードで、▼北海道 ▼東北・佐渡 ▼関東・上越・房総 ▼伊豆・箱根・富士・伊豆七島 ▼信州・高山 と県別でもありませんし、微妙なエリア分けになっています。(笑)ディズニーランドとかUSJとかがどのエリアなのかが解らなくなってます。(笑)いま担当者レベルではこのエリア分けを変えようという話しが出ておりまして、その内に変わると思います。(笑)
荒川さんの指示で入力して検索してゆきます。「ここからは比較的スムーズに問題なく進めます。
ただ、JTBさんのホームページ画面には沢山のリンクがありますして、ホームページ・リーダーで調べてゆくと丁寧に読み上げてくれますので、全部聞かなくてはいけないのです(笑)。まあ、しょうがないのですが、そんな時にはブロックジャムという機能がありまして、セットすると飛ばしてくれます。その機能のことはあまり知られていませんので、知らない人はJTBのホームページはなんてバリアフリーに配したページなんだろうと思いながら調べるわけです(笑)。」

HIS

次にHISさんのホームページを見てみます。
「今回お話しをするということで、家で皆さんにお渡ししたレジュメにある順番でホームページを検証してみたのですが、このHISさんのホームページはなった時に、〝もうやめようかな〟と思いました(笑)。どうやってもまったく解らなくて、〝HISさんはなかったことにしてもらおうか〟と思ったほどでした。でも悔しいのでトライしてみたという経緯があります。旅行が好きでなかったら断念していたと思います。」
「どうしてそう思ったかといいますと、ホームページを最初から最後まで音声で聞いてみて、〝じゃあ、どこどこのリンクに入ってみよう〟と思わなくてはならないのですが、『香港』、『海外』、『国内』、『出張航空券』 などとあまりに多いために、いったいどこから入るのだろうかと悩みました。」
「上に書かれているリンクと下に書かれているリンクに関連性がなく、国内画面と思っていたのに突然『韓国』があったりして、音を聞いているだけですと頭が混乱してしまいました。かなり大変でした。」
「見た目上はフレームのようになっているのですが、実際にはフレームではないのです。」

HISの画面

読み上げソフトは横軸にそって読み上げるように、松本高行さんが今回は読み上げました。
『海外航空券』 『モンテカルロ滞在』 『憧れのアパートで暮らす』 『気ままな一人旅・直行便』 
地域、キャッチフレーズ、料金が混在してしまいます。(えぇぇ、と皆ビックリです)
「私はこのページはかなり悩みました。」 荒川さんはつくづくとため息をつきながら話しました。
国内セクションに進む時は、HISさんの特徴として、海外航空券から始まって、海外ツアー、旅の専門デスク、バリアフリー旅行が続いて、国内旅行(航空券/ツアー)が出てきていますと松本高行さんが補足説明しました。ここまでずっと横列に読んでいって、やっとこの国内旅行にたどりつき、エンターキーを押されたそうです。(皆またビックリ)
「本当に途中で止めようかと、何度も思いました。(笑)」
国内旅行のページに移り、方面から選ぶから、これは行き先の方面から選ぶということです。
「この方面を選択してからも沢山の情報がつまっていました。前のページと同じ様に画面はフレームのように作られていますが、読み上げは横に進む形式は同様です。私は途中でいやになってきてしまったのが現状でした。音声を聞いて選ぶわけですから、2回目を聞いて行う訳ですから、想像していただけると思います。」
「では、沖縄を選びます。」 同様の構造になっており、松本高行さんが横軸を読みます。
「ここまで来ると、やっとこれまでと同様にブロックジャンプとか行って探しやすくなります。どんどんと読み飛ばして行けば、比較的わかりやすくなります。今回レジュメを作るためにもう一度最初からトライしたのですが、途中でどうだったかなと忘れてしまうほどでした。」
「普通最初の段階でわからない時は、その後あまりそのサイトへ見に行くことはなくなるのが現状です。」 

近畿日本ツーリスト

最後に近畿日本ツーリストさんのホームページを検証してみました。
「近畿日本ツーリストさんも、ほとんど同じなのですが、大きくHISさんとの違いは、詳細の結果の時にフレーム処理されています。国内パックツアーから入ります。国内パッケージツアー検索蘭にちょっとひとつ問題がありました。『いつから』 『出発地は?』 『目的地は?』 は読み上げてくれましたが、一番下にある『添乗員は?』は画像処理されているため読み上げてくれませんでした。私は食事の選択かなぁなどと想像してしまいました。」
「それからはフレーム構造ですので、不要な部分は読み飛ばして行えますので、システムをしてているとフレーム構造は便利といえます。これで大体説明させていただきました。」


皆さん、驚きと感動の内にお話が終わり、その後は恒例である、参加者の自己紹介を行い定例会を終了しました。

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