「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

2003年1月 定例会の報告
「車椅子的上海旅游」

1月の勉強会は 佐藤元司さん(NPO法人東京都脊髄損傷者協会理事)をお迎えして「車椅子的上海旅游」という題でお話をしていただきました。この「車椅子的上海旅游」というタイトルは中国語風の日本語(造語)だそうです。

それにしてもこの例会は「会報担当泣かせ」でした。と言うのも、会場では、膨大な情報や貴重な写真をもとに「プロジェクター」を使って説明が行われたからです。先ずは、この会報を読んでくださる皆様に、十分な情報の紹介ができにくいことをお詫びをします。

1月の例会は1月14日(火)19時から、森運営委員の司会で始まりました。参加者は23人でした。

佐藤元司さんのお話

私は大学卒業して某有名楽器メーカーに就職後、間もなく「脊椎腫瘍」という病気にかかり車椅子を使用するようになりました。障害者として求職活動を行い、現在はサラリーマンです。併せて、NPO法人理事、家業[呉服屋]補助(無給)として走り回っています。1989年5月に障害者の日中交流事業で中国に行くことになりましたが、例の「天安門事件」の影響で、実際に初めて中国に言ったのは翌1990年でした。最近は年1~3回の割合で中国に行っています。中国語は、NHKラジオ講座で学習し、上海交通大学・上海教育学院で短期語学研修を受けました。殆ど独学ですので、レベルは日常会話が可能と言う水準でしょうか。

これまで訪問した地域は、以下の通りです。北京、西安、上海、武漢(上海から船で長江4泊5日)、蕪湖、馬鞍山、南京、蘇州、杭州、紹興、嘉興、寧波、ウルムチ(上海から列車で3泊4日)、トルファン、青島、開封、洛陽、昆明、景洪、アモイ、福州、梅州、泉州、広州・・・。

中国の障害者事情ですが、障害者に関する基本法と言うべき「残疾人保障法」が1990年に制定され、「中国残疾人連合会」を中心に活発な内外活動が行われています。1987年統計を基礎にした推定統計では、障害者総数6000万人(内訳:言語障害者は2057万人 知的障害者1182万人 肢体障害者877万人 視覚障害者877万人 精神障害者225万人 重複及びその他障害者782万人)となっています。

いざ、上海へ出発!

さて、上海へ出発しましょう。先ずは、上海入国までのアクセス方法からです。成田空港までは自家用車利用が便利です。JR、京成線も車椅子で利用可能ですが、駅まで行くのに苦労します。リムジンバスは、未だリフト付車両を見たことがありません。成田空港ビルの駐車場は、南北駐車ビル2階に各2台の障害者駐車スペースがあり、料金清算の際、障害者手帳の提示で半額になります。

成田空港では、チェックイン時に自分の車椅子を預け、空港常備の車椅子に乗り換えるよう誘導されますが、航空会社によっては、希望により自分の車椅子を飛行機のドアサイドまで使用することが可能です。空港内では出国に際し空港職員が同行するので、却って一般の乗客よりスムーズに手続き出来ます。搭乗時は、他の乗客に先立って座席まで案内されます。(降機は最後ですが)

現在、日本と上海の間には 日本航空、全日空、ノースウエスト航空、中国国際航空、中国西方航空、中国東方航空の6社が飛んでいますが、全ての客室乗務員に日本語が通じるのは、日系の航空会社で、一部日本語が通じるのが、中国東方航空です。

上海では、全ての外国便が浦東国際空港に到着します。関西空港に似た横長の大きな近代的ターミナルビルです。ここでも飛行機を降りる時からタクシーに乗るところまで現地係員が誘導しますので、空港用意の車椅子に乗り換え、パスポートを準備すれば黙っていてもOKです。因みに日本語は通じません。

浦東国際空港から市内に向けて、リニアモーターカーが試運転中です、完成すれば7分半で上海市近郊と空港が結ばれます。その他、市内への足は空港バス、ホテルバス、タクシーがありますが、車椅子利用ですと荷物もあるのでタクシー利用(100元~150元)が便利です。

上海は今の中国で最も発展の速い街です。空港から移動し始めると、市内へ近づくに従い数々の凝ったデザインのビル群が現れ、来訪者を歓迎します。一人一人に過去と未来の交錯する都市「上海」が始まります。首都の「北京」も南の大都市「広州」も大きな都市ですが、上海に較べると「大きな田舎」街の印象です。
市内の移動はタクシーがお勧めです。初乗り運賃10元(約160円)で中心部は大丈夫です。20元まで払うつもりなら、大体の所へ行けます。地下鉄の利用が一部可能になりました。大きな駅には地上から改札口、改札口からホームまでのエレベーターげ設置されています。但し、駅員の誘導と解錠が必要ですので、少々面倒です。

(会報担当)
この後、具体的にホテル名を挙げての宿泊バリアフリー情報、交通情報、道路状況、観光情報等々の説明が、豊富で詳しい写真をOHPに投影して行われました。ホテルのランクは★(星)1つから★5つまであるということ、車椅子利用者は★4~5がお勧めとのこと、安心感と利便性を重視して上海初心者には「花園飯店(ガーデンホテル)の一般客室」(バリアフリールームではなく)が「お勧め」等々、車椅子の視点による写真を見ながらの説明を聞けた人は残念ながら例会参加者だけです。

上海の街の様子

次に、車椅子利用者にとって重要なトイレ施設状況についてです。街中にある公衆トイレには、障害者用トイレのあるものと無いものとがあります。繁華街に設置されている有料公衆トイレ(1元)には、立派な障害者用トイレ(障害者は多くの場合無料)があります。5つ星ホテルの大半と4つ星ホテルの一部には、障害者用トイレが設置されています。但し、設置場所が判りにくい場合が多いので、要注意です。4つ星以上ならフロントで英語が通じます。

上海の街は地形上起伏が少なく、大きな路の歩道にはスミキリ(スロープ)が施されているので、車椅子には移動し易い環境です。有名なバンド(外灘)地区にもスロープが設備され、黄浦江沿いの遊歩道へ上がると、対岸の高層ビルが立ち並ぶ近未来的な浦東新区を一望出来ます。旧い上海を象徴する豫園地区は、未だ再開発中ですが、中国国内旅行者が必ず立ち寄る観光名所です。殆ど平坦ですので、車椅子でも中国ならではの御土産や小吃(小龍包、餃子、ワンタン等々)を楽しむことが出来ます。他にも、南京路や准海路、徐家匯、人民広場・・・歩き方、楽しみ方は色々です。

上海を起点にして中国国内を移動する場合、飛行機・列車・バス・船の4つの方法があります。 飛行機に乗る場合には、国内線でもパスポートの提示を求められます。列車については、駅の設備が未だ整っていませんし、ホームが低いヨーロッパスタイルですので、乗降車時は援助が必要です。トイレも一部を除き和式に似たスタイルになっています。長距離バスは各地へ便がありますが、日本と同じでリフト設備はありません。船にエレベーターはありませんが、人力に頼れば乗れないことはありません。少々汚な目ですが面白い旅になります。
さあ、上海から中国を始めましょう!!!

(会報担当)
街中の様子も、沢山の写真を投影して説明していただきました。文字では表現しきれず残念です。佐藤さんの鋭い観察力にも驚かされました。

質疑応答

Q:街中の一般的なレストランのトイレは車椅子で利用出来ますか?

A:トイレは段差があったり狭いので、日本と同じで車椅子での利用は期待しないほうが無難です。因みに、お客が沢山入って繁盛していることが、安くて美味しい店であることの証明です。(笑)

Q:街中で不便を(車椅子で)感じることはありますか?

A:特段、日本に比べて不便なことはありませんが、自転車の流れを横切る場合には、注意が必要です。(自動車は右側通行を守りますが、自転車は勝手気ままです。)

■会報担当より
中国、特に上海に関してはいかなるガイドブックよりも観光局よりも佐藤さんは豊富な情報をお持ちです。実は私も上海旅行の際には佐藤さんに色々アドバイスをいただきました。宿泊ホテルから某レストランへの道を教えてもらった時に「車椅子ならすぐだけど、歩くとかなり距離があるよ」と話されたのが非常に印象的でした。

佐藤元司さん、お忙しい中ありがとうございました。

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