「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

2001年11月 定例会の報告

11月の勉強会は当会会員で「(有)ベルテンポ・トラベル・アンドコンサルタンツ」代表の高萩徳宗さんに「未来のバリアフリー旅行」というテーマでお話して頂きました。最近では本も出版されマスコミでも時々お名前が出ます。普段の仕事やバリアフリー旅行に対する考え方も含め興味深い内容でした。
11月20日(火)19時よりJATA会議室にて参加者は26名でした。

高萩徳宗さんのお話

今日は「未来のバリアフリー旅行」ということですが、普段私が何を考えどんな仕事をしているかの話をさせていただききたいと思います。
今に至るまで、私は鉄道が好きでまず某私鉄の車掌として5年ほど勤務いたしました。次にカナダに渡り現地でツアーガイドをし、大手旅行社勤務を経てスタートラベル(エスピーアイ)に勤務。その後平成11年に「ベルテンポ」という会社を作りました。

私と社員2名の小さい会社ですが、反響の大きさに日々驚いています。知名度がない会社なのに全国から問合せの電話が多数有り、旅行に行きたくても行けない人(とくに高齢者障害者)が大勢いることに驚いています。

当社の年間取扱者は1000名ほどで、総売り上げの98%が高齢者障害者の取扱いです。特に専門の会社と詠っているわけではないのですが・・・。他社から断られたお客さんが当社に来ることもあれば、他社から紹介されてお客さんが回ってくることもあります。本来は富山に住んでいるお客さんが沖縄に行くのに手配が新宿(当社)というのは不自然です。またお客さんの中には旅行に行ければ「何処でも良い/いつでも良い/いくらでも良い」という人もいていかに旅行がしにくいかが良く分ります。忙しいですが儲からない会社です。(笑)

では障害があるとなぜ自分らしい旅が出来ないのでしょうか。

  1. 旅行会社、宿泊施設のバリア・・・旅行会社では以前より良くなったとはいえ車いすというだけで断られることも。またガイドブック等の情報で「車いすマーク」が付いていても実際には使えなかった。(利用しづらかった)ということもあるようです。
  2. マニュアル・組織・システムのバリア・・・は~マニュアルでは認められていないのでという対応。私はお客さんとの間で大変だと感じたことはないのですが、当社のストレスはひとえに日本の社会や組織の無理解に対しての説得のエネルギーです。
  3. 受付窓口やカウンターでのバリア・・・個人的には良いんですが組織的にはだめです、など本当は来て欲しくない本音が見え隠れすることがあります。
  4. 旅行する側のバリア・・・「お客様は神様」とは思っておりません。お客様と会社はあくまでも対等の立場だと思っています。特別扱いを要求するお客さんもいるので、要求がお客様のワガママなのか必要な配慮かを見分けなくてはなりません。
  5. 設備的なバリア・・・ハード面だけの改善ではなくソフト面のバリアも取り除くことが大切。等です。

旅行会社は「高齢者旅行」「障害者旅行」というカテゴリー分けをして、特別なツアーを作っています。健常者はこちら、障害者はあちらでというのが日本の実状です。家族旅行の障害者もいればビジネスの旅をする障害者もいるはずです。
本当は専門(障害者)の旅行会社は不要だと思います。
当社への問合せ電話は一件がとても長くなることが多いです。障害の大変さを強調して「何をしてくれますか」というお客様。これは目的と手段が逆転しています。また旅に出たい、情報が欲しい。この問いに関してはホームページ上で情報を公開しています。旅に行きたいのでサポートして欲しい。当社がお手伝いできるのはこのカテゴリーのお客様です。また、よくバリアフリーな旅館ホテルの一覧表はありますか。ときかれます。バリアフリーの概念というのは極めてあいまいで、本来はそう言ったものは作れないはずだと考えています。また車いす利用者に偏る傾向も有ります。ガイドブックにバリアフリーな宿と紹介されていたので利用したら自分は使えなかったと言う例もあります。または宿の人が過度な要求をされてしまったとの話も聞きます。現在は混乱期にあると思います。

私が考えるバリアフリーな旅とその作り方です。カナダのコロンビアアイスフィールドでは雪上車で観光するのに、車イスで乗り込めるものもあります。料金も同じです。送迎方法にもバンタイプの車か、リフト付バスか本人に選択肢が与えられています。タイ国ではハードの不備があまり気になりません。人的ケアが厚い「徳を積む」という人々の精神に支えられているからです。行きたい所に行けるというチャンスが与えられているのです。

 

そして障害のある人にも「自分らしい旅」をしていただきたいのです。旅において障害になることはそれほど大したたことではなかったりします。例えば洗面所のコップを手つきのマグカップにしてもらえれば・・・。延長コードは借りられるのか・・・等です。私達はお客様のそんな不安要素を取り除いていきます。重い障害のある子供たちの旅行で「飛行機を使いたい」しかし、その子が産まれてから親御さんたちも飛行機に乗った記憶がないのです。「断られるのでは」「具合が悪くなるのでは」と最初からあきらめてしまっているのです。不安が解消でき、希望あるならば、実物の航空機の座席を持ってきてみせてあげたいくらいです。
(無理ですか?)

日本の社会は、特に東京の人の心は、何か大切な物が失われてしまったような気がします。会社にかかってくる電話でも、あまりに横柄な態度のお客様はお断りすることもあります。私はその旅にかかわった人すべてがハッピーになることを目指しています。例えば旅館なら、当社から送客されたお客様はいいお客様といわれたいですね。また「障害者割引」という考え方も決して望ましい、あるべき姿ではないような気がします。特別扱いではなく、必要なのは配慮だと思います。JRの東京駅は一日に200人程度の車イスでの利用者があると聞きました。現在は職員によるフルサポートですが、もし、これが300人、500人となったら・・・。どんどん旅に出掛けることで世の中は変わっていくと思います。

無い物ねだりや事勿れ主義では変わっていかないのです。サービスを提供する側が押し付けずサービスのニーズに合わせて選べることが重要だと思います。当社が様々な旅の形の一つの選択肢になればと思っています。

質疑応答

Q:航空会社の対応が悪いといわれることが有りますが。どういう対応をしたらいいか教えて下さい。

A:現場で最前線にいる方は本当に良くやってくれています。現場から離れるとうまく行かなくなる例があります。

Q:最近電動車椅子利用者がホームから転落して・・・。と言う事故がありましたが。

A:その鉄道会社は電車に乗るまで職員が付添うという形に(以前)戻りました。ホームで危ないのは障害者だけでなく「酔っ払い」も危険です(笑)自己責任という考え方が根付ていないと思います。

Q:大手旅行社からお客さんが回ってくるということはどうしてなんでしょうか。

A:大手旅行社は多くの情報を(障害者の旅に有用な)持っていますが。カウンターの担当者がそれを使いこなせないのではないでしょうか。

ベルテンポトラベルアンドンドコンサルタンツHPアドレス
http//www.est.hi-ho.ne.jp/beltempo

ページの先頭に戻る