「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

2000年9月 定例会の報告
「アジアの障害者との交流について」

日時:9月20日(水) 19:00~

会場:JTB本社8F A会議室

9月の勉強会はアジア・ディスアビリティ・インスティテート(ADI)代表中西由起子氏からアジアの障害者をめぐる環境についてお話をいただきました。

中西由起子氏のお話

日本人の多くはアジアに関する知識は限定されています。大半が途上国です。途国には、新興工業国もありますが、経済的にさらに後れている後発開発途上国LDCと認定されているネパールやバングラデシュまで含みます。

1981年、DPI(障害者インターナショナル)の設立に参加したのが契機となり、障害者団体のネットワーク化に取り組み、1986年より3年ほどはESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)で障害部門を担当しました。帰国後に経験や知識を無駄にしないよう、ADI(アジア・ディスアビリティ・インスティテート)を設立しました。

ADIはアジアの障害者に関する情報収集や研究活動、研修、情報提供などを通して障害を持つ人たちのエンパワーメントを支援してきています。途上国とはいいながら、車いすの乗れるリフト付バンを持っている国もあります。
韓国ではバス型のものを2台見ました。台湾では障害者団体保有のものがあるかと思われます。フィリピンはスペインからリフト付バスが寄贈されましたが使えないままになっているようです。日本の24時間テレビが提供したバスをネパールやラオスで見たけれども、どこに使われているのかわからない、所長の乗用になっているのではないか、いずれにせよリフト機能が使われていないようです。タイではベンツのリフト車があるが政府管掌では使うのは大変ではないか。フィリピンは地下鉄が通勤の脚で、障害者が使えるようにはなっていません。障害者団体でリフト車を購入しています。
インドのニューデリー・パキスタンにはリフト車がありませんでした。スリランカにはリフト付の救急車があり、空港からの予約で使えました。

全体的に障害者対応は途上国の段階で、電動車いすが増えています。スリランカには韓国やブータンからも電動車いすで来ていた人がいましたが、こうしたトップレベルの階層の反面、一般層は障害者であることでサービスを受けることはなく、貧富の差は大きいといえます。

アジアの多くの国では障害者は人として認められず、恥として親が世間から隠してしまいますので、障害者登録されておらず戸籍がないことがよくあります。障害者であることを医者に証明してもらうなどの手続きが必要だったりして、一層実態把握にはネックになっています。結果として障害者の比率は途上国ほど低いものになります。仏教が障害者を前世の行い、因果とネガティブに捉えていることもあり、障害者は一生やっかい者として過ごさねばなりません。

ベトナム戦争で使われた枯葉剤は自然に分解されず未だに影響を与え続け、食物連鎖から日本人の口にも入り込んでいると思われますが、べトちゃん、ドクちゃんのような障害児がかなり生まれていて、しかも実態がつかめていません。これには山岳地帯に遊動民族が多く、ベトナム人でもタイで生まれていたりすることもあるからです。子どもが多い中、捨てられたり、放置されたりすることも珍しくなく、限られた食べ物を分けるにも長男だけ優先するなどの差をつけて育てるので、生き続けられる状況にないといったこともあります。教育にも格差があります。1999年、ESCAPの報告によればアジアの障害児はたった5%しか教育を受けられません。教育そのものは無償であっても、教材や制服(アジア人は制服が好き?)が負担、あるいは遠くて通いきれない等の実態があります。
日本では各県にろう学校があるなどかえって統合教育(障害者と健常者が一緒に学ぶ、本人に厳しい努力が求められるが社会性は育てやすい)が進めにくい場合がありますが、アジア諸国には特殊学校は少なく普通学級にいれて、特に点字や手話はリソースティーチャーがリソースルームで教えるなどの方法が取られています。 インドの視覚障害者がイギリスの一流大学へ留学する、またタイ、フィリピンなどでも富裕層では障害者にもエリートになれる可能性が広がっています。日本ではすぐ施設を建てますがこれは維大変です。途上国では施設を考えるのではなく地域の中の一員として育てるのでCBR(Community-Based-Rehabilitatio)地域に根ざしたリハビリテーションの考え方が重要になります。簡単な計算くらいはできることが前提ですが、地域の中で育てられれば小さな店を出して自立するなどの事も可能になります。障害者自身積極的な姿勢で、自助運動としてグループを作って活動するなどの例も見られ、韓国ではポリオによる障害者の全国組織など強力な団体もあります。
フィリピンやセブでは全国組織の障害者団体がキヨスクを経営しており、交通渋滞時運転手達に氷詰めの小袋を売るなどしっかりと自立している姿がみられます。 タイでは宝くじの販売が障害者団体に割り振られた既得権として定着してきました。このため宝くじ販売にコンピュータ化が計画されましたが障害者団体の反対で見送られました。
西欧化の度合により車いすを見ての反応が違います。途上国でジロジロ見られるのはいい気がしませんが悪意はないので手を振って返事するくらいのつもりでいれば平気です。電動車いすが珍しいのかあまりうるさいチェック無しでかえって快適な旅を楽しめたこともあります。

質疑応答

Q:アジア各国の障害者の年金充実度は。

A:障害があるからと言う理由での年金は基本的にどこの国にもありません。中途からの障害にも労災のような制度はありません。

Q:インドで障害者を装った物乞いにあった。

A:物乞いは多く既得権化している面もある。上げる方が仏教的な功徳を求めているので、もらう方も悪びれない。障害児を物乞いに使うシンジケートもあり、時期を過ぎると障害児が放置され社会問題化している。

Q:高齢者はどうか。

A:核家族化進行しているがまだ大家族で敬意を払われている。

更に詳しく知りたい方はホームページにアクセスしてください。
「アジアの障害者」
URL:http://www.asiadisability.com/~yuki/

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