「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

2000年4月 定例会の報告
「なぜトラベル専門学校の授業にバリアフリー講座を取り入れたか」

講師:早川俊信氏さん(YMCA国際ホテルトラベル専門学校講師)

日時:2000年4月22日(水)19時~

会場:JTB本社8F B会議室

参加者:38名

横浜戸塚にあるYMCA国際ホテルトラベル専門学校で講師をしている早川です。まず携帯電話をお持ちの方は取り出してみて切ってください。そのまま触ってもらうと数字の5の処に小さな凸がありますね。盲の方のための小さな工夫です。それに気付いてもらうのがバリアフリー理解の講座なのです。

学校で介護法という授業をやってきました。バリアフリー理解を通して障害を持つお客さまへの対応、初歩的な技術を教えています。

私は昭和24年生まれ、高校時代、小田実「何でも見てやろう」、五木寛之の「青年は荒野を目指す」等の本から刺激を受け、世界を旅することに関心を持ち卒業後英語と旅行業を学び、国際旅行社で主に海外営業と営業添乗をしていました。
シンガポール航空のホールセラー(卸売)のため行く先が東南アジアに限られていました。

シンガポールでキャンピングカーで旅行しているヒッピー達に出会ったことがきっかけで自分もやりたくなり会社をやめて、猿岩石のような貧乏旅行でシベリヤ経由ロンドンから中近東へと12ヶ国を回りました。その経験を買われ、元の旅行業者に再就職できましたが、時はバブル全盛期で引き抜きもあり、他の会社も経験したり、倒産の憂き目にもあいました。YMCAが旅行学校を作るとき手伝い、そこで講師になって現在に至っています。

授業に自分なりの独自性をと考えているとき、「旅フェア」でぼらんたびに出会い、障害者との対応がこれからの業界には必要具体化できたので、障害への理解、介助法を授業に取り入れました。学校としてもこの授業を見てトラベル科だけでなくホテル科の学生にも必要ということになりました。

講師としてトラベルフリーの会の杉山氏ほかの方々にお願いしてきました。
授業は当事者である障害を持つ人にも来てもらい実際に触れ合うことと、ホテルなどでの実習があります。

車いすに実際に乗ってみたり、アイマスクをして歩行体験、手話通訳を帯同した聴覚障害者、盲導犬をつれた視覚障害者など、できるだけ当事者にボランティアで来てもらうことにしました。また視点が限られないよう、当事者の話を聞くだけでなく、障害者の隣にいてお手伝いをしている人の話も聞きます。ホテルやトラベルの従業員はプロとして障害者に対応できなければなりません。障害者への対応に慣れていない等との逃げは許されないのです。学生達障害者が健常者とともに活動することが当たり前という理解が伝わり、このような授業を持って良かったと思う反面、次にはホテル・トラベルの現場の人たちへも理解を広げていきたいと考えています。

授業でお願いした講師代は90分ひとこまで決まっており、何人かで来ると交通費程度にしかならないため、ボランティアになってしまっているので、今までの実績を理解してもらい予算を広げて行きたいと思います。
キリスト教を広める使命を持った宣教師の拠点としてYMCAはホテルを経営してきました。

YMCAのクリスチャン団体としての理念、「旅人をもてなす」がホスピタリティであり、ホスピス、ホスピタル、ホテルなどの言葉を派生してきました。
戸塚校では学生の質はピンからキリまでさまざまで、行く処がなくて来たような者もいますが、YMCAはそんな学生も受け入れています。

YMCAの東京校では、希望者の選択で授業を受けているので、既に障害者問題にも目覚めている学生が多いようです。卒業生でトラベルフリーの会に入っきている学生もいます。

学生達はいままで障害者に出会う機会が少なく、関心が薄かったり、どう声を掛けていいかわからなかったのが、この授業が出会いの機会となり、理解が進み、声が掛けられるようになっています。

これまで「介助法」といしていた授業のタイトルは四月から「バリアフリー理解」と代えます。

というのはYMCAのスタッフでさえもまだまだわかってなく、自分の問題として捉えられていません。校内は一応障害者対応となっていますが、身障者用トイレがいつの間にか物置になっていたり、校内のレイアウトを変えたとき、かえって車いすで通れなくしていたりします。

卒業生が就職して職場に入ると、先輩に障害者への理解がないという問題もあり、次の階段で考える必要があります。

問題は子供の頃から障害者に接する機会がないため、専門学校などでわざわざ教える必要があるのではないでしょうか。

もっと優しい旅への勉強会の皆さんも講師として協力くださるようお願いします。

質疑応答

Q:障害者に対するセンシティビティをどう捉えるか?

A:人の話をして喜びを感じる人を育てる。そうでない人はホテルやトラベルの業界に向かない。この世の中に様々な人がいて当り前、と気付くことが第一歩。

Q:客としての扱いと障害者への親しみの区切りは?

A:まず声掛けをして「本人が望むことをサポートする」が基本。

Q:障害者が学生として入って来るか?

A:まだ来ていないが望むところです。

ページの先頭に戻る