「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

1995年4月 定例会の報告
「旅行における介助と介助者のありかたについて」

司会:草薙威一郎

日時:1995年4月20日19時15分~21時30分

会場:JTB本社3階プレゼンテーションルーム

参加者:33名

「旅行における解除と介助と介助者のありかたについて」次の3つのポイントについて出席者の間で話し合いをしました。

問題提起1

一般のパッケージ旅行に障害をもつ人が参加した場合、同じツアーの参加者にどこまで「暗黙の善意」を期待できるか。介助をどこまで頼めるか。

【意見1】

自分は電動車イスを使用しているが、飛行機に一人で乗った時、頼みやすいのは機内食に関する介助。隣に座った人は大抵快く手伝ってくれる。だが、座席から身体がずり落ちてくるのを上げてもらうとか枕を背中にあててもらうといった個人的な手助けとなると、最初の1回はいいが2度3度と重なると隣の人も「運の悪い席に座ったなあ」という顔を見せたりして、こちらも心苦しい。こうしたことから、機内番組のチャンネルも1度変えたら、降りるまでずっと同じ番組で我慢するということもある。

【意見2】

個人旅行で外国に行くことがあるが、ホテルや飛行機などの施設では可能な限り現地の人に介助を頼むようにしている。一緒に介助者が同伴していても、何から何まで世話していては、色々見たい所もあるのは当然。できるだけ介助の負担を分散させるように心掛けている。一般のパッケージツアーに参加したことはないが、基本的に自分は『暗黙の善意』は期待しない。その人によって善意の基準はバラバラだし、時間の経過によっても変化するものだから、それに頼るのは難しい。

【意見3】

善意で手を貸すと言うのと、必要な介助に関する取り決めは別。善意がかえってアダになることもある。手を貸した健常者にとっては大したことでなくても、後で大ごとになった例もあった。

【意見4】

介助で一番大事な要素はコミュニケーションの取り方では。

【意見5】

車イスに乗っている私の友人が介助同伴で一般のパッケージツアーに参加した。車イスの人はその人だけ。他のツアーメンバーは白けてしまって最初は無視していた。その人はバスの中で、皆に一言おわびを言ったところ、それから皆が色々手伝ってくれるようになった。ドイツのノイシュバンシュタイン城でも、ものすごいらせん階段があるのだが、皆が手伝ってくれて、上まで昇ることができたそうだ。ツアーに参加するなら自分を積極的にアピールすることが必要では。

問題提起2

旅行に同行する添乗員にどこまで介助を期待できるのか?添乗員の仕事とは何か?

【意見1】

旅行会社で長年の添乗経験があり、障害をもつ人たちのツアーも多く手がけているが、旅行の最初で必ず希望を言ってもらうようにしている。すべてをかなえられるとは限らないが、そうすることによって旅行会社側もできることとできないことを説明することができる。そうした納得がないと、後で「こんなはずじゃなかった」「希望どおりじゃなかった」とクレームが出ることも多い。旅行会社がどこまで対応するか、申し込みの時点であらかじめの取り決めは必要。できるだけ早めに申し出てもらって旅行会社とお客さんが知り合っておけば、余計な摩擦は大体防げると思う。ここまでが添乗員の仕事、という線を引くのは難しい。

【意見2】

私も旅行会社の社員だが、添乗員をしている時、集合20分前に障害をもつ参加者からちょっと来て下さいと言われ、それが結局30分もかかり、他のお客さんを待たせたため、次からそういう頼みは断ったことがある。添乗員は旅行全体のスケジュール管理を行う責任があるが、障害をもった人の中には時間管理などを甘く考えている場合も見られる。添乗員は公平にサービスするというのが基本ということを理解して欲しい。

【意見3】

同じく旅行会社の社員として添乗をした経験から言うと、添乗員は常に1日先を考えている。早めにリクエストしてくれれば、それだけ対応もスムーズになる。たとえば、当日の自由時間になって急に買い物をしたいと言われるより、前日に申し出てくれればそれなりの策を当日までに考えておける。お互いがハッピーになれるよう、上手に添乗員を使って欲しい。

【意見4】

障害をもつ旅行者の立場から言うと、自分はパッケージ旅行に参加した経験があまりないが、基本的に添乗員を信用していない。自分が電動車イスを使ってA地点からB地点へ移動したいと思っても、危険だから我慢しろと言われ、抱え上げられて車に乗せられたりする。自由な行動をおさえこまれる気がする。障害者は安全なところにいればいい、という意識が添乗員側にあり、障害をもつ人はそれに薄々気付いているのでは。現地の基本的なアクセスが整っていれば、単独行動で体当たりして色々な移動手段を試してみる方が楽しめる。

問題提起3

障害をもった人が自分で依頼した介助者の旅行費用はどこまで負担すべきか。介助者が全額負担した場合、介助者のわがままはどこまで許されるか。逆に障害をもった人が介助者の分を全額負担した場合、障害をもった人のわがままはどこまで許されるか。

【意見1】

介助者の旅行費用の負担の方法については、①障害をもつ人が負担する②旅行会社が負担する③行政が負担する、という3つの方法に集約されると思う。ホームヘルパーと同じように旅行に関するヘルパー制度があった方がいいのだろうか?

【意見2】

神戸市では肢体不自由の1級障害者で、家族の介助が得られない人については介助手当が出る。1時間1,330円で、1か月最高64時間出る。これは旅行の介助にも使える。東京都にも、32ヶ所の指定保養所を利用する障害をもつ人と介助者に宿泊補助金が出る。

【意見3】

こうした制度は、東京と大阪と神戸くらいしかなく、役所のホームヘルパー制度が不備なのでそれを補うために運動した努力の産物。だが、海外旅行の介助などにも適用されるかというのは疑問。

【意見4】

自治体ではよく介助券というのを出していて、障害をもった人がそれを利用するとその券を受け取った施設や事業者が自治体に券を戻し、払い戻しを受けるというシステムになっている。だが、この事業者に旅行会社があてはまるかは疑問だが。

【意見5】

介助の内容が今後の法的な問題となってくるだろう。

【意見6】

一番いい方法は、障害をもつ人がお互いに気の合う仲間を見つけて、ボランティアを一人だけ見つけて旅行する。ボランティアがいると周囲の人も手を貸してくれることが多い。ボランティアにはお金も出してもらい、7~8人で9人乗りのタクシーを利用すれば一人当たりの自己負担も少なくて済む。

【意見7】

うちの旅行会社では障害をもった人ももたない人も料金は同じ。互いに助けたり助けられたりということを事前に言っておく。

【意見8】

ある旅行会社では、排泄1回につきいくらというふうに介助料金を請求しているという。それは行き過ぎという気もするが…。旅行会社が安全を確保するために先回りして、行動を抑止する側にまわるという面はあるのでは。それがやるべきことをやらずに下がってしまう場合もある。

【意見9】

観光介助と生活介助に分かれるのでは。前者は、周囲の人の手助けで事足りる部分が大きいが、後者が通常の生活で必要な人は旅行でもやはり連れてきてもらう必要があると思う。排泄の世話などをボランティアでやるのは難しい。

【意見10】

旅行は逃げられない状態に追い込まれる。片方が楽しむ一方、片方がお世話する一方では空しい。たとえ障害をもつ人が全額負担するとしても、介助者を短時間でも解放してあげることが必要。そうするとフラストレーションがたまらず、互いに気持ちよく旅行ができる。

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