「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

1995年3月 定例会の報告

日時:1995年3月23日19時20分~21時20分

会場:JTB本社3階プレゼンテーションルーム

参加者:33名

PartⅠ:「フロリダ州の観光事情」

フロリダ州政府商務省観光局支部長 フィリップ L.クリスト氏

先ず最初に、フロリダ州の説明をしたいと思います。フロリダ州は、アメリカの50州の中で、東南部に位置し、イーストコーストの一番南にあります。州都はタラハシーといいます。フロリダ州の中で、日本で有名な地名は、オーランド、マイアミ、キーウエストなどです。昔はマイアミが一番有名でした。今は、オーランドの南のディズニーワールドが有名です。このディズニーワールドは、東京の山手線の内側と同じくらい面積があり、マジックキングダム、エプコットセンター、ディズニー・MGM・スタジオ・テーマパーク3つのテーマパークがあります。あまりに広いので、以前は1~2日のパスが販売されていましたが、今では、4~5日のパスに替わりました。ディズニーワールドは、リゾート地でもあり、21軒20,000室のホテルと5つのゴルフ場(ミッキーマウスの顔を型取ったバンカーがあります)、テニス場やキャンプ場があります。

ディズニーワールドの近くにはシーワールドがあり、アメリカ的なショーの演出で、その点では、鴨川のシーワールドよりおもしろいのではないかと思います。

オーランドの東には、ケネディ宇宙センターがあります。ここでは、2時間のバスツアーがあり、本物のロケットや2つの打ち上げ台の見学が出来ます。

フロリダ州のイメージは、「トロピカル」です。南部には、代表的な観光地マイアミがあります。マイアミは、フロリダ本土の都市部と、マイアミビーチに代表される島の部分があります。また、マイアミはカリブ海クルーズの港としての顔ももっています。

マイアミの南には、エバーグレーズ国立公園があります。大きな沼地や湿原があり、パンサー、ワニ、フラミンゴが生息しています。ここではバードウオッチングがポピュラーですが、プロペラ船を利用しての観光もあります。
マイアミの北には、ボカラトンという5つ星の高級ホテルがある地域もあります。

フロリダ州の一番南には、キーウェストがあります。バスで3時間30分、プロペラ機またはジェット機で1時間ぐらい。42の橋があります。日本で有名なのはセブンマイルブリッチ(全長約12kmある)です。映画「トゥールーライズ」の撮影でも使用されました。ここで観光名所はヘミングウェイの家であり、夕焼けが美しいことでも有名です。

フロリダ州の観光施設には、障害者のための設備が沢山あります。ディズニーワールドのパンフレットの見ますと、ほとんどアトラクション(乗り物)に乗ることが出来ます。自分の車いすのまま見れるもの、車いすを置いてアトラクションの乗り物に乗り換えるもの、また、電動カート(電動3輪車:長く歩けない人が使用)からアトラクションの入口で車いすに乗換えるものと分類されています。盲導犬はどこでもだいじょうぶです。アメリカでは盲導犬や聴導犬、介助犬などを含めて「サービスアニマル」と呼んでいます。

聴覚障害者向けのTDD(タイプ式電話)の位置表示や、視覚障害者向ガイドブック、ショーの台本などの提供サービスもあります。

ADAが施行されてから、1968年にできた一番古いホテルを始めとして、毎日のようにどこかのホテルは改装しているので、障害をもった人向けの配慮も徐々に整ってます。1920年代にできた、ボカラトンリゾートでも改装が進んでおり、車いすの方や、聴覚障害の方、視覚障害の方に対する設備が徐々に整備されています。

車いす使用向けの海岸遊歩道などビーチ設備もつくられています。主として駐車場設備やスロープ付きの木道の設備などです。

質疑応答

Q:障害者スポーツの現状はどうなっていますか?

A:残念ながら私は知りません。

Q:マイアミまでの日本からの飛行時間は?

A:約17時間です。直行便もあります。

Q:フロリダでハリケーンの多い時期は?

A:8月、9月の日本と同じ時期です。

Q:フォートマイアースなどの海岸遊歩道の設備の改装費はどこが負担しているのですか?

A:パプリックのビーチなら、政府がだすと思いますが、詳細は不明です。
普通のビーチならば、郡が費用を負担するのでは州立ならば負担すると思います。

コメント:クリストさんは、流暢な日本語を話します。今回の勉強会の発表にあたって、数ヶ月前からフロリダ州各地の観光施設に手紙を出して準備いただきました。勉強会当日には10種類以上のパンフレットが配られました。その残部が数セット残っていますので、もしフロリダに行く人がいましたら事務局までご連絡ください。資料をお送りしますが、送料は受取人にご負担いただきます。

(文責:草薙)

PartⅡ:「オーストラリアの観光事情」

オーストリリア政府観光局東日本地区マーケティング部長 二木 亮寿氏

この仕事を9年間勤めてきましたが、障害者の視点でものを見てきませんでしたで、このような話は初めての経験です。チャレンジのつもりでお話ししたいと思います。

オーストラリアは、最近はポピュラーな海外旅行先となってきました。日本の23倍の面積に1,700万人の人が住んでいます。真ん中は砂漠地帯の乾燥した大陸で、移住が始まってから200年の歴史しかありません。外界から隔絶した地域といえます。

私を始めとして、昔は学校の授業でもオーストラリアの勉強をあまりしなかったように思います。オーストラリアは、自然や動物がユニークで、これは何億年隔絶して進化してきた結果です。代表的な動物にはコアラがいますが、ユーカリだけ食べ(消化しにくい植物なのですが)昼間はほとんど寝ている状態です。また、原住民であるアボリジニは外見上では、私たち日本人と同じ先祖には見えませんが蒙古斑があることからアジア系人種(オーストラリア周辺の人種はボリシネア人やメラネシア人)と言われいてます。

植物生態系も違っており、通常の生態系では植物は腐って肥料になるのですがオーストラリアは乾燥しているので腐りません。その代わり、ときどき山火事か起きて、燃えて肥料になります。植物のユーカリは樹皮が厚く、根が深いために火に強い生態です。バンクシャーという植物は、温度が500度ぐらいになると実が弾けて繁殖します。カンガルーはこのような植物の葉しか食べません。反対に人間が持ち込んだ羊(人口より多いと言われていますが)、人間が管理して放牧しないと根こそぎ草を食べてしまいます。
オーストラリアの売り物は大自然とロマンです。ヨーロッパなど比べると、人工の歴史がありません。人口の85%が沿岸の都市に集中していますが、最大の都市であるシドニーでも人口350万人で、100万人の人口を越える都市が6都市しかありません。気候は温帯から亜熱帯にまたがっており、場所によって自然が違うのも特色です。

ケアンズは、日本から一番近い都市で、熱帯雨林が突き出ています。ここでは、時計を外してゆったりと過ごしていただければ、日本で見られないものが見られると思います。マングローブの林や泥海がありますが、海岸はハワイの人工海岸とは違って自然と共存したそのままの海岸を保ってます。

グレートバリアリーフは、泳ぎを楽しめるところです。レジャー施設や宿泊施設が整備されていますが、ここでも自然との共存をはかるため、客室数に制限を設けて、観光客の制限をしたり、建物の高さに制限をして、林に隠れて見えないようにしています。

ゴールドコースは、フロリダを小さくしたような地域であり、テーマパークや水族館などがあり開発が進んでいます。オリジナルの料理が楽しめます。

メルボルンは、ペンギンで有名ですが、ここに生息しているのはフェアリーペンギンです。集団で巣に帰るペンギンパレードが有名ですが、自然のままのの保護が徹底しており、日本だと柵を作って仕切りますが、できるだけ近くで見られるようにそのようなものは設けていません。

アデレードは整った街です。ゆったりと遊ぶには良いところだと思います。
エアーズロックは、大陸の真ん中にあり、360度の地平線の眺めが素晴らしいところです。
バースは、あの兼高かおるさんが、「世界で一番美しい町」と評したところで、インド洋に面しており、また町中を流れる川に面しています。町中にリゾート施設があります。

障害者の受け入れ体制としては、まち作りの基本コンセプトにバリアフリーが取り入れられています。飛行機や空港に身障者設備が整っています。バスは、事前に連絡すれば、運転手が介助してくれますし、器具の準備もしてくれます。レンタカーはハンドコントロール付自動車が用意されています。タクシーは電話センターに連絡すれば、車いすが乗れるタクシーを配車してくれます。列車は、レールオーストラリアというところが運行していますが、身障者用客室が用意されています。また、トークレター(旅行日程をアレンジしてくれる人)にも、障害者専門の人がでてきました。

ホテルについては、たいがいのホテルには身障者室が用意されており、またガイドブックも発行されています。

福祉機器の貸出も、「ACROD」、「ILC」などの団体で行われており、旅行客にも貸出をしているそうです。介助サービスもいくつかの団体で実施しているとのことです。

学校での第2外国語の選択で日本語の修学率が高い現状ですので、団体の中には日本語が話せるスタッフがいるかも知れません。

オーストラリアでの観光情報は、州政府観光局に問い合せるのが一番です。連邦に実権があるのは、軍備と外交政策だけで、観光行政は州政府の所轄であり、州の影響力が強いからです。また、障害者関係の各団体へ問い合せるのも良いかもしれません。
最後に「ルボラン」という雑誌に紹介されていた日本の障害をもつ御夫婦のオーストラリア旅行の体験記をご紹介したいと思います。ここに載っている記事によりますと、『日本は設備はあるが、使いにくい。オーストラリアでは、小さいホテルでもよく設備されているし、日本ではほとんど外出しなかった夫が買物へ出かけるほど町が良かった』と感想が述べられています。

オーストラリアでは、「Disabled person(障害がある人)」と「No-Disabled person(障害のない人)」と表現していますが、障害があることが、特別なことではないという考えるからです。

質疑応答

Q:以前にオーストラリアに旅行いった際に、利用したホテルのハンディキャップルームの浴室には、バスタブがなく、障害者の人には不評でした。また、シャワーが固定式でしたが、整備基準はあるのでしょうか?

A:とにかく利用する前に何か必要リクエストがほしいと、ガイドには書いてあります。新しいホテルの浴室ならシャワーは動かせると思いますが、基準については調べてみます。

Q:以前利用した、ブリスベン空港はボーディングブリッジがなかったが、整備される予定がありますか?

A:今新しい空港ターミナルができて、ボーディングブリッジがつきました。現在は一般的な空港のほとんどボーディングブリッチがあります。

コメント:オーストラリアは、日本から年間60万人以上の人が訪れています。二木さんには現地の最新の情報を取りよせていただきました。4月から赤坂の新しいオフィスへ移転する前の多忙ななか、ありがとうございました。

(文責:草薙)

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