「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

1994年5月 定例会の報告

日時:1994年5月25日19時15分~21時30分

会場:JTB本社3階プレゼンテーションルーム

参加者:39名

PartⅠ:「海外旅行の傷害保険について」

ジェイアイ傷害保険(株) 損害サービス部長 伊藤 友彦氏

ジェイアイ傷害火災は、1989年に国内で22番目の損害保険会社として、日本交通公社(JTB)と保険機構AIGグループの共同出資で設立されました。海外旅行保険の取扱が営業の80%を占めています。一般の保険会社の業務では、保険金の支払が中心になりますが、当社では、保険に付随するサービスを主体とし、保険金の支払業務行っています。

当社の昨年の実績では、10,800件の事故の取扱を行っています。内訳は、疾病が42%、携行品の盗難等が35%、傷害事故が10.7%となっています。地域別にみますと、アメリカ・カナダが40.4%、アジアが24.7%、ヨーロッパが18.3%になります。傷害事故の中で、死亡されたものが15件あり、原因としては病気が6件、事故が9件となっています。また、後遺障害をともなう怪我が18件ありました。例としては、お年寄りの方の転倒事故による足の骨折、また、ひったくりにあった際の、転倒にともなう顔面のキズなどがあげられます。

当社は、JTBを通して保険のお申込みをいただいていますが、サービスとして、事故等の事故後処理のアシスタンスを含めて保険金の支払を行っています。契約全体に対する事故の発生率は、他社では1/20の割合ですが、当社では、1/60と低くなっています。これは、きちんとした企画に基づく旅行のため、安全度が高くなっているためだと思います。「アシスタンスサービス」は、海外の33拠点のジェイアイデスクの担当者を通して、現地語と日本語で行われ、事故に対処するためのアドバイスや手配を行っています。具体的には、病気になった時の、病院の案内、往診の手配、電話による病状の通訳、病院への入院手配等があります。また、「海外旅行障害保険」としては、保険金の範囲内でのキャッシュレスサービス、7日以上の入院の際の日本への連絡、それにともなう3名までの渡航と2週間以内の宿泊手配、本人の帰国手配と医師の添乗手配などをおこないます。

このような救援業務は月に4~5件あり、最初から最後まで社員が対応しております。各デスクの担当者は、各国の法律や地域の事情に精通しております。また、デスクの他に34ヶ国語にフリーダイヤルを設置し、24時間体勢で日本に転送し対応しています。
 障害者の方の旅行と医療に関して述べますと、保険の適用の対象となりますのは、あくまでも、旅行行程上の家を出てから帰るまでの期間が責任期間となります既往症の治療については、治療費が支払えないことになっています。ただし、過去の病歴の再発でも、同じ部位でなければ、新規の発病として保険の対象となります。保険の契約時に出来る範囲で病歴の説明をしていただくことが保険金の支払を円滑にするために重要です。万一現地で発病した際の、医師への説明や旅行のアドバイスにも役立つことになると思います。

健康保険では、「社会保険」は、海外旅行中の治療費もかなりの範囲で支払対象になりますが、「国民健康保険」は、支払対象外になっています。

質疑応答

Q:以前は、障害をもっていると、支払(契約)内容に上限金額の制約があったがその理由は?

A:保険利率は一般的に障害をもっていても一緒です。保険金額、旅行期間、目的の違いで保険料が変ります。障害保険には、制限がありません。疾病保険は3000万円が上限です。申告契約なので、日常生活ができる方には制限がありません。

Q:セットになった保険では、一部の保険に上限があると、全体の上限も制限があるので、個別に保険が契約できるか?

A:○○タイプと呼んでいるものを選べば、各項目ごとに契約ができます。

Q:事前に障害を申告しないと、保険金が支払われない場合があるか?

A:未申告の場合、疾病保険がひっかかります。契約内容の遵守をお願いします。

Q:救援者保険の適用判断は?

A:7日以上の入院に適用されますが、医師の判断を目安にします。

Q:電動車いすのバッテリーに破損に対する保障は?

A:紛失や破損は保障対象です。また、航空会社では、20㎏を上限に、1㎏当たり20ドルの保障をしています。10万円が限度です。原価償却も査定されます。

Q:脳卒中の場合、再発の際の「同じ部位」という定義は?

A:治療した医師の申告で判断します。

Q:社会保険と国民健康保険の適用の違いは?

A:それぞれの法律に基づいています。

Q:再発の場合、初回の原因との因果関係の判断は?

A:治療中の病気の場合には支払対象外になりやすいです。

PartⅡ:「香港旅行の報告」

太田I.K.J代表 伊澤博氏

大田I.K.Jでは、昨年12月に香港へ旅行を実施しましたので、その体験を発表いたします。
今回の旅行は、普通(非障害者)の海外旅行と同じ様に実施するという方針で、企画されました。パンフレットをご覧いただいても、違うのは介助者についての項目がある程度になっています。

旅行先に香港を選びましたのは、「アジア国際障害者年」の初年度であること、ハード面の整備が悪いと言われている地域が見たかったこと、日本から近いこと、東京に似ていることが主な理由です。期間に関しては、香港の12月上旬は気候が良く、またクリスマスのイルミネーションが見られことが理由です。また、12月中旬以降では料金が高くなってしまうことも要因の一つでした。費用的には、今回は地元の障害者団体との交流の企画をいれることによって川崎市から助成をうけることができました。実際のツアー自体は、旅行会社の宴会パック旅行を利用しましたが、JTBと近畿日本ツーリストに見積りをお願いし、最終的にJTBを利用しました。パック旅行を利用しましたが、日程は独自性をだすために、香港の障害者団体の「香港傷残青年協会」との交流を日程に入れました。

参加者は12名の予定でしたが、直前にキャンセルが出て、10名で実施しました。ツアーの最小催行人数が10名でしたので、これ以上キャンセルがでては、全体が割高になってしまうため、ハラハラものでした。また、男女別の部屋割りに苦労しました。
実施までに、事前説明会を7回開催し、香港に行ったことがある方に話をしていただいたり、現地での注意事項、持っていくもの(当初は電動車いすをもっていくつもりでした)などを話しました。
現地までの感想としては、成田空港で、搭乗用の車いすのシートが硬く、座り心地が悪かったこと、乗込む際に車いすの手摺を折りたたむために体が不安定になってしまって苦労したことがあげられます。香港空港では、車いすトイレが比較的広かったこと。公衆電話が低くなっていたことがあります。

香港の地下鉄は、入口が階段なのは東京などと同じですが、改札口が狭いために車いすの利用ができませんでした。名物2階建てバスは、乗って乗れないことはないと思います。また、フェリーは2層式の下層部分に車いすで乗ることが出来ます。現地での移動はハンディキャブを利用しましたが、座席が対面式の配置になっていたのが特徴的でした。
香港のホテルは日本出発直前に変更になり、当初予定していた食堂や、待合わせの予定をあわてて変更することになりました。利用したのは、「ロイヤルガーデンホテル」ですが、ランクとしては中の上程度でした。部屋は、ベッドと調度品の隙間が車いすでぎりぎり通れる広さしかありませんでした。

町中の様子は、横断地下道の入口にもスロープがあり、歩道と車道の段差もあまりなく、ほどほどに便利でした。ビクトリアピークは、ちょっとの段差で入ることができましたし、公園の入口の棚も、係員が外してくれたりもしました。公衆トイレは広く作られていました。
全体のスケジュールは余裕を持って組みました。集合は朝の10時に設定し、見る場所を少なくして、15時にはホテルへ帰れる様にしました。フリータイムは、3組ぐらいに分れて行動して、各自の体調で行動を決めるようにしました。
香港の人は、町中でさりげなく手助けしてくれたりして、見た目は、怒っているようでも、人情があるのかなと言う印象でした。

質疑応答

Q:成田空港までの交通手段は?

A:民間のハンディキャブと自家用車を利用しました。自家用車は空港周辺の民間駐車場に預けましたが、空港まで自動車を取りに来てくれるサービスをしてくれました。

Q:ハンディキャブの香港と日本の料金は?

A:日本では東京福祉バスが30~40万/日。民間で5万から。(注:目黒チェアキャブを走らせる会 佐々木 氏 談)香港では7時間で600香港ドル(9000円程度)。ボランティアで運行している団体もあり、1日2香港ドル程度だそうです。

Q:健常者(非障害者)はアテンダントとして参加したのか?

A:基本的にはアテンダントとして行った人はおらず、自費で参加しました。もちろん介助はしました。

Q:香港の物価は?

A:住宅費は日本並み。その他の物価は日本の1/3ぐらいです。

Q:電動車いすは、香港で利用できるか?

A:香港は200Vなので、変圧器とソケットを用意すれば使用できると思う。町中では、スーパー等に段差はあるが、動ける程度は東京とほぼ同じ。

Q:電動3輪車は、飛行機に積めるか?

A:事例がないとおもう。基本的に分解できないと、機内に持込みができない。
(注:旅行会社社員 談)

※編集注:後日A航空会社より、電動3輪車でも自分の「足」として使うのだから、電動車いすと同じ扱いで、1台まではどんなに大きくても無料で運ぶとの返事をいただきました。

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