「もっと優しい旅への勉強会」定例会報告

1992年10月 定例会の報告
「空の旅の新しいサービス」

講師:
河本 宏子さん(全日空客室部チーフコーディネーター)
藤原 公彦氏(日本航空サービス委員会事務局課長)
古賀 宰氏(新東京国際空港公団広報室室長代理)

日時:1992年10月21日(水)19時05分~21時45分

会場:JTB本社3階プレゼンテーションルーム

参加者:39名

Ⅰ 全日本客室部チーフコーディネーター 河本 宏子さん

社会貢献委員会は、昨年策定された全日空の企業理念“The first Choice-あなたの一番でありたい”を目標に“よき企業市民でありたい”ということから自発的に活動が始まりました。

現在、機内の快適性を追求するサービスの一環として、点字によるメニューを提供しています。一人のキャビンアテンダント(以下CA:客室乗務員)が地下鉄の点字料金表からアイディアを得て、同僚CAに呼びかけ、点字図書館や障害者の方にご意見を伺い、フライトの合間に勉強をして、パソコンによる点訳を開始。メンバーは徐々に増え、今は100人働いています。1992年4月、ロンドン線、ロサンゼルス線に積んだのを皮切りに、長距離の路線に点字メニューを用意。

点訳ソフトがうまく変換してくれないという苦労もありますが、今後、国内線と共に音楽プログラムの点訳も考えています。皆様からのアドバイスをお待ちしております。

Ⅱ 講師<日本航空サービス委員会事務局課長 藤原公彦氏>

障害者の方々へのサービスは、今までも、それぞれの部署でしていましたが、1992年2月、サービス委員会を新たに設けて、全社的に取り込むことになりました。

具体的には、

  1. JAL全体で点から線のサービスを
  2. 社員の優しい気持ちを表現したい
  3. 社員の目を交通弱者の方に向けたい、をテーマに揚げました。

ところで、今までは、お年寄り・障害者の方を交通弱者と呼んでいましたが、まずこの言葉を改めようと、社員から新しい言葉を募集し、「プライオリティゲスト」(優先的な配慮が必要なお客様)としました。
「プライオリティゲストに対するサービス改善分科会」では、障害者の方からヒアリングを行ったり、7月からJAL独自の機内用車イスを導入したり、8月には耳の不自由な方へのサービスとしてFAX予約受付を始め、好評をいただいています。点字メニューも近々開始します。また、「May I Help you」という社員のマインドに訴えるサービスハンドブックを12月9日(障害者の日)に向け作成しています。
最後に、空港公団の方の前で恐縮ですが、現在、成田空港にはリフトバス(PBL PASSENGER BOADING LIFT)が2台しかなく、混雑時には、使い回しで大変不便しています。1台3000万円近くするものと思います。JALだけの問題とはなりません。声を大にして改善を考えるよう、皆さんに提案したい。

Ⅲ 講師<新東京国際空港公団広報室室長代理 古賀宰氏>

ビデオ「完成まぢか第2旅客ターミナルビル」をまず上映。「ボタンの掛け違いなどもあり、まだ未回収地が21.3haがありますが、これには誠意をもってあたりたい。」という話の後、本論に。
第2旅客ターミナルビル(以下、2ビル)は12月6日オープン。大きさは、現在のターミナルの約1.6倍。日本航空、全日空、日本エアシステム、日本アジア航空など日本の航空会社とそれら航空会社に添乗手続きを依頼している外国航空会社32社(現在は31社)が移ります。それに伴い、東京寄りに鉄道駅<空港第2ビル駅>が開設されます。利用する航空会社によりターミナルビルと乗降駅が異なるため、告知業務に力を入れています。
第1ターミナルを設計した昭和45年当時は、健常者の設備をやりくりしながら改善してきましたが、今度の2ビルは、設計からその思想を採り入れています。
その特徴は

  1. 他人の介助なく、健常者と同じ動線(移動の道筋)で移動できる。
  2. エレベーターは約20基。障害者・健常者兼用で、音声案内・車イス用押しボタン・ボタンの点字表示を付けました。開閉部は90㎝以上です。
  3. 障害者トイレは男女別々に設置。手洗器・洗面器は、車イス利用者の高さに設置。カランはレバー式。
  4. 同一フロアで段差無し。スロープは勾配1/12。幅員120㎝。
  5. 案内用点字ブロックの設置。押しボタン・水栓コックの点字表示。
  6. 歩行段差が300mを越えないよう歩行補設備(動く歩道、シャトルシステム)を設けた。

また、2ビルのオープンで混雑も緩和され、車イスや高齢の方も利用されやすい空港になると思います。

質疑・応答

Q.宮崎さん(立教大学生)‥①ガイドブックには、身障者兼用型エレベーターの表示がありませんがどこにありますか?②歩行補助設備は車イス利用者が乗れるスピードですか?

A.古賀氏‥①エレベーターの近くにあります。2ビルのエスカレーターは、段差が16㎝(1ビルの半分程度)と緩やかになりました。でも、車イスでの利用は、ご遠慮いただくことになりそうです。また、動く歩道は、一応使える予定ですが、介護者が付き添った方が安心です。

Q.佐々木氏(目黒チャアキャブ)‥福祉バスを空港ゲート近くに停車したいのですが、追い返されます。交渉なり手続きはありますか?

A.古賀氏‥過去に、空港反対派が、非常に巧妙な手口で、ゲートを破ったことがあったので、警備が厳しくなっています。また、我々の中に福祉バスの意識もないこともあります。今度解決するべき課題としたいと思います。

Q.成瀬氏(空とぶ車イストラベルサロン)‥障害者の利用実績は?また、全日空の点字メニューの反響と利用実績は?

A.河本さん‥新聞などの報道で、(視覚障害者の方から)お手紙をいただいたりと反響は高いです。但し、実績としては、まだ2件しかレポートされていません。(93年8月時点では増えています)

Q.木村さん(東京コロニー)‥電動車イスの機内持ち込みと(障害のため)使い慣れているフォーク・ナイフの持ち込みについて?

A.藤原氏‥バッテリーをはずしていただければOKです。また、金属食器の持ち込みはX線検査で問題になるでしょうから事前にご相談ください。

Q.深沢さん(JTB)‥車イスで利用できるトイレが備わっている機体は?

A.藤原氏‥車イスが使用できると言っても、回転できるほどのスペースがあるのではなく、カーテンが付いて多少広いということですが、747~400,B-767では備わっています。
河本さん‥ジャンボ機(B-747)とB767にはあります。また、国内線のA320にも備えられています。

Q.伊藤さん‥(赤十字語学奉仕団)‥①駐車場の車イススペースは増えていますか?②団体案内は分かり易くなりますか?

A.古賀氏‥①増えることになります。また、1993年4月以降の立体駐車場が完成すれば、2ビルとペデストリアンデッキで結ばれるので利用しやすくなるでしょう。但し、障害者の方の駐車スペースは増えてもその確保は一人ひとりのモデルですね。

Q.樽原氏‥(東京コロニー)空港見学はできますか?

A.古賀氏‥完成の最後の機内の追い込み工事中で、旅行業界の見学もお断りしている状況ですが、障害をお持ちの方の声を伺う機会として11月初めになんとか実施を考えてみます。

*事務局注:工事の最終段階ということで、努力をいただきましたが残念ながら実施はされませんでした。

以上

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